輸入コンテナで「虫」が発見された!?

博士、聞いてください……。私の会社が輸入したコンテナで、検査のときに虫が見つかっちゃったんです!



それはショッキングじゃな。どんな状況だったんじゃ?



食品や雑貨をたくさん詰めたコンテナだったんです。日本の港に到着後、食品検査を受けるためにヤードでコンテナを開けたら、中から虫がたくさん飛び出してきて……



その場合、コンテナの奥にも虫がいないか、デバンしないといけないじゃろう?



そうなんです!でも虫が出たせいで、食品を扱う倉庫はどこも受け入れてくれなくて……



食品を扱う倉庫というのは、特に衛生管理に気を遣うものじゃ。保管中の貨物に虫がついたら大変だから、受け入れに慎重になるのも無理はないのう。その状態で受け入れ先を探すのは大変なことじゃ



はい……。いろんな倉庫や業者さんに断られてしまいました……
最終的に、一部の商品は処分することになり、一部商品だけ輸入できたんですけど、イベントにも間に合いませんでした



商品を処分……つまり滅却じゃの。虫ひとつで、スケジュールもすべて狂ってしまったんじゃのう……。


もし虫が出たらどうしたらいい?



もし輸入コンテナを開けたときに虫が出てきたら、どう対応すればいいんですか?私、すごく慌てちゃって…。



基本の対応は“広げない・逃がさない・すぐ連絡”の三つじゃ
コンテナから虫が出た時の初動対応
- むやみに触らない・刺激しない
・虫を叩いたり払ったりすると、逃げて周囲に拡散してしまう。
・特に毒を持つ種類(アリ、ハチ)や、繁殖力の高い害虫は要注意。 - 発生状況を確認する
・コンテナのどの場所に、どれくらい虫がいるのかを目視で把握。
・卵や幼虫がいないかも確認。 - コンテナを閉める/密閉する
・扉を静かに閉め、外に逃げ出さないようにする。
・可能ならガムテープなどで隙間をふさいでおく。 - 関係機関へ速やかに連絡
・港湾管理者、検疫所、地方自治体、環境省地方環境事務所など。
・「どんな虫が、どこで、どれくらい」という情報を伝える。
・必ず指示を仰ぎ、必要なら燻蒸業者へ依頼する。



なるほど、“虫が出たらまずは封じ込めて、専門機関にバトンタッチ”なんですね
解決策は?どうしたら良かった?



博士、虫の対応はわかったのですが、貨物は滅却しかなかったんでしょうか?



ケースバイケースじゃが、今回のように、輸入国でコンテナを開けた後に発覚となると、対応できる業者が見つからず、お手上げ状態になってしまうこともあるんじゃ…



その段階だと、打てる手も少なくなっちゃうんですね



そういうことじゃ
だから、輸入国に到着してからではなく、輸出する前の段階から、あらゆることを事前に想定して準備しておくことが大切なんじゃ
今回のケースも、コンテナの海上輸送中に虫が混入することは考えづらいから、おそらく輸出国のどこかで、虫がコンテナに入りこんだはずじゃ



はい。調べたところ、たぶん輸出国の倉庫で虫が入り込んだ可能性が高かったです。食品のいい匂いにつられて、虫が入り込んじゃったんだと思います



輸出国でどんなことに気を付ければよいのか、見ていくとしよう
輸出時に備えるべきポイント
- 燻蒸済みの梱包材を使う
・ショーリング材やパレットは必ず燻蒸・熱処理済みのものを使用する。
・ IPPCマークがある資材を選ぶのが基本。 - 信頼できる業者にバンニングを任せること
・荷物を積み込む作業は清潔な倉庫で行う。
・バンニング環境が悪いと、虫が紛れ込むリスクが高まる。 - 特に食品は衛生管理を徹底すること
・食品は検査が厳格で、虫や汚染があれば販売不可に。
・出荷前の確認や倉庫での管理を含め、徹底的な衛生対策が必要



なるほど……。輸入国で虫が見つかったら大混乱になるから、輸出の段階で防ぐことが大切なんですね。



燻蒸材を使用していなかったり、外来の虫を日本に広めてしまうようなことをすると、外来生物法違反などの違反事例として、国や検疫所からペナルティを与えられることもあるから、注意が必要じゃ
・輸入コンテナを開けた際に虫が見つかると、手続きが止まってしまう。納期に間に合わなくなったり、貨物が滅却となる可能性もある。
・輸入国に到着してからだと、打てる手が限られる。輸出前に対策を行うことが大切。
・輸出時点での燻蒸材使用や衛生管理、信頼できる業者でのバンニングなどが予防策となる。



自分の貨物を無事に輸入して損失を防ぐことはもちろん、これらは輸入国の環境と安全を守るためにも大切なことじゃ。輸出入を担う者は、必ず理解しておかねばならんぞ
記事管理No.: 025-01-250916