
ウサギさんは東京の会社で貿易のお手伝いをしています。
今日は「リマーク」という言葉を疑問に思ったウサギさん。現場のクマさんにリマークについて聞いてみましょう。
リマークってなんだろう?

今日初めて聞いた言葉があるんです。リマークっていう言葉なんですが、これって何ですか?
マーク?貨物に何かに貼り付けるマークのことですか?



リマーク(REMARK)とは「貨物リマーク」のことだよ。マークとは違うよ。貨物に貼り付けるマークとも別物だ。リマークとは、貨物の荷受け書類に記載される特記事項のことで、貨物の損傷や過不足、品違いなどを意味するんだ。後日のクレームの際の証拠にもなるよ。



マークじゃなくて、特記事項のことなんですね。つまり、注意書きみたいなものなんですね。
どんな風に分かるの?



でも、自分の貨物にリマークがあるかってどうやってわかるんですか?



日本側に貨物が到着した後、港(CFS)でデバンをするんだ。その際に倉庫は貨物の検品を行って、リマークの有無を必ず確認するよ。



デバン?



デバンとはデバンニング(DEVANNING)のことで、コンテナから貨物を出す作業のことだよ。反対に、コンテナに貨物を積む場合は、バンニングやバン詰めと呼ばれているよ。



なるほど……確かにコンテナから貨物を出さないと、貨物の状態は確認できないですもんね。



うん。デバンで貨物にダメージなどが見つかると、デバンニングレポートや港湾関連情報処理システム(NACCS)に、そのダメージなどの情報が記載されるんだ。
そうすることによって、「日本に到着して、コンテナから貨物を取り出したときには、すでにダメージがあった」ということが分かるんだ。日本国内ではなく、海上輸送中や海外側でダメージが出た可能性が高いという証拠になるよね。



その場でダメージがあったことを記録しておかないと、どこでダメージがあったのか後から分からなくなっちゃっても困りますもんね。
ところでなんだか、デバン作業って大変そう……。



特に夏は過酷だね。コンテナの中は換気が悪くて、熱がこもりやすいから、熱中症のリスクもある。大型扇風機やスポットクーラーを使ったり、色々な対策をしているけど、それでも作業者の負担は大きいよね。



本当、作業者の皆さんには感謝しかないですよね。
リマークってどんな風に表記されるの?



例として、NACCSの情報のリマークを見てみよう。
下記はNACCSの画面だよ。赤丸の部分がリマークだ。





「(1)PLT S/BROKEN」ってなってます。



「S/BROKEN」は「Slightly Broken」の略なんだ。デバンニングレポートを作ったりNACCSを登録する人によって、表記が省略されることがあるよ。
「(1)PLT S/BROKEN」は、「1PALLETがSlightly Brokenです」っていう意味だよ。



へえ、省略されることもあるんですね。SLIGHTLYってどういう意味ですか?



SLIGHTLYは事故の程度を表す言葉のことだよ。
【事故の程度】
・SLIGHTLY(少々=貨物全体の概ね30%以下のもの)
・PARTLY(一部=貨物全体の概ね30%~80%未満のもの)
・ALL(全て=貨物全体の概ね80%以上のもの)
SLIGHTLYはわりとよくある表記で、そこまで深刻なダメージではないことが多いよ。



へえ、そうなんですね。では、具体的な事故の内容はどうですか?



例えば、よくあるものだと……
【事故内容】
・BANDS OFF:バンドル切れ
・BROKEN:破損
・BROKEN&REPAIRED CONT’S OK:破損したものを修理、中身異常なし
・BROKEN&REPAIRED :破損したものを修理
・BURST:破裂
・CASE BROKEN CONTENTS UNKNOWN:箱傷み中身不明
・CHAFED:こすれ
・CRUSHED:押しつぶれ
・COVER TORN:外装やぶれ、袋切れ
・DEAD:動物の死
・DEFORM:変形
・DENTED:へこみ
・DIRTY:汚れ
・EDGE CUT:端切れ
・EMPTY:中身が空
・HINMEI:品名違い
・MISSING:入り不足
・NO MARK:マークなし
・SCRATCHED:ひっかき傷
・SHORT:数量不足
・STAINED:色付き又は汚れ
・WET:濡れ



入り不足や数量不足など、貨物の数が合わない場合どうするんですか?



その場合、パッキングリストやインボイスと整合性が取れないから、荷主に確認が必要だね。貨物現物が間違っているわけじゃなくて、たまに、荷主が書類のほうを間違えていた、なんてこともあるからね(笑)。



なるほど、勉強になりました!
・リマークはデバンニングレポートやNACCSなどで確認可能。貨物に損傷などがなければリマーク欄は空欄ですが、実際は何らかの損傷があるケースが多いです。
・品名違いや中身が空の場合は、パッキングリストやインボイスと照合し、荷主に確認を取ります。
・リマーク欄は、貨物の損傷状況を把握するための重要な情報源。特に貿易業務にかかわる人は、記載内容を正しく理解し、適切に対応できるようにすることが大切です。
記事管理No.: 016-01-250331