
食品輸入に関する3種類の検査「自主検査、命令検査、モニタリング検査」の違いを学んだウサギさん。
今日は、さらに詳しい現場の例が聞けるということで、まだまだフクロウ博士の講義は続きます。さあ、どんなお話が聞けるでしょうか?
前回の復習:「自主検査」「命令検査」「モニタリング検査」とは?
フクロウ博士まずは前回のおさらいじゃ。3種類の検査の違いを覚えているかな?



はい、こういうことでしたね。
- 自主検査:食品の規格にあっているかどうか、基準を満たしているかどうかを確認。義務ではないが、輸入者が自らのリスク管理として行う。
- 命令検査:違反が多い品目などに対して、必ず受ける義務のある検査。特定の品目と国、場合によっては製造業者による品目が対象となり、事前に検査対象がわかっている。
- モニタリング検査:年間計画に基づく安全管理を目的としたランダム検査。費用は国が負担し、結果を待たず輸入ができるが、違反が発覚したら回収対象となる。



素晴らしい。では、今日はそれぞれの実態を見ていこう。
事例①赤とうがらしが「モニタリング検査」から「命令検査」に格上げ?された





モニタリング検査や命令検査対象の品目は、変わることがあるのですか?



よい質問じゃな。モニタリング検査は、違反が危惧される食品が対象となるが、モニタリング検査で違反が続けば、命令検査に移行する可能性がある。



確かに、安全管理上、当然ですね。



例えば、「プロピコナゾール」という農薬がある。これは各国から輸入される農産品から検出され、残留が疑われる各国農産品がモニタリング検査の対象となっていた。
モニタリング検査を続けた結果、令和3年12月と令和4年2月、中国の二つの業者で製造された乾燥赤とうがらしからプロピコナゾールが検出された。
そこで、令和4年2月末、これら2つの業者で製造された、中国産赤とうがらしおよびその加工品は、必ずプロピコナゾールの残留について検査を受けることが義務付けられるようになったんじゃ。
これが厚労省からの発表じゃ。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24056.html
興味深いことに、これにより、中国産赤とうがらし及びその加工品は、プロピコナゾールのモニタリング検査対象から外れたのじゃ。



より的を絞った検査となったのですね。



さらに、現在ではプロピコナゾールそのものの検査が減っている。



どういうことですか?



取り締まりの結果、プロピコナゾールが検出されるケースが減ったのじゃろう。農業、加工技術も進化する。日本向け製品でこの物質が検出されてはならない、と輸出者が意識し、この農薬を使用しなくなったり、洗浄方法を変える。また、輸入者もこの農薬を使用しない業者・生産国に切り替えるなどの企業努力で、危険な食品の輸入を回避することができる。



昔は使われていたけど、人体への影響から使われなくなった農薬もいろいろありますね。



その通り。しかし、また新しい農薬や添加物が開発されたり、安全管理不足により細菌が発生する頻度が上がれば、新たに検査対象になることもある。



なるほど。生産管理とともに、政府の管理動向を気にかけておく必要があるのですね。
ピンチ!輸入手続き途中で検査状況が変わった!



ウサギさんは「ロンガン」という果物を知っているかな?



いいえ、初めて聞きました。



竜眼、リュウガンともいう中国南部・インド原産の果物で、ライチやランブータンのような食感で知られている。





わぁ、美味しそう♡



そうじゃな。しかし、このロンガン、ベトナム産のものは令和7年8月から、トリシクラゾールという農薬について命令検査対象となったんじゃ。



輸入されたロンガンから検出されてしまったのですね。



その通り。
ところで、まさに同じタイミングでベトナムからのロンガンを輸入していた別の業者がいたんじゃ。



大変!どうなるんですか?



当初、この農薬は検査対象ではなかったため、この業者は検査をしていなかった。そこで税関が「別の業者で違反が見つかったので、もうすぐ命令検査に移行します。今回は自主検査としてトリシクラゾールの検査を受けてください」と指示を出したのじゃ。



びっくりしますね。



そうじゃな。しかも、この検査が大変じゃった。なぜか分かるかな?



急な検査で時間がかかった?



その通りじゃが、それには理由があった。トリシクラゾールはその時点で珍しい農薬であったため、対応できる検査機関が非常に限られていたのじゃ。
そのため、この業者は通関業者を通し、方々の検査機関にあたって、ようやく検査を受けることができた。幸いトリシクラゾールは検出されず、無事輸入はされたが、肝を冷やしたという話じゃ。



検査機関も需要の少ない検査を行うのは避けたいですものね。



うむ。マイナーな成分は地方の検査機関では取り扱いがなく、わざわざ東京に送って検査・輸入手続きをするなんて言うこともある。
最近の傾向|中国からベトナムへ



やはり国によって、検査の数が多い、少ないはあるんですか?



もともと検査が多かったのは中国じゃ。そもそも輸入量が多いからなぁ。しかし、最近では検査が減っている。



それはどうしてですか?



中国では、日本仕様に合わせた生産が広がり、日本で禁止されている農薬や添加物を使わないケースが増えている。



それは嬉しいことですね。では、検査が増えている国もあるんですか?



最近増えているのはベトナムじゃ。中国の人件費高騰から、輸入元を切り替える輸入者が増えているのに加え、日本向けの生産管理が確立していない場合、知らず知らず違反をしてしまうこともある。



日本の法律・管理体制をしっかり伝えなくてはいけないのですね。


まとめ|検査は「運」ではない



検査って、理由があって対象が決まるんですね。これまで運次第だと思っていました。



良い学びをしたのぉ。情報収集をしっかりすれば、十分に準備できるものじゃ。
- 検査は「自主検査」「命令検査」「モニタリング検査」の3種類
- 違反が続いて発覚すると、その品目・国・加工元・物質について命令検査対象となる。違反情報にアンテナを張っておくことが大切
- 成分によっては検査機関が非常に限られ、手続き・コストに大きな影響がある
- 日本の法律・制度をよく理解するとともに、取引先に周知徹底することが重要



一番のリスクは、「知らなかった」ことですね。



新しい製品・取引先とのやり取りはよく注意し、継続の場合も最新情報をしっかり入手することじゃ。わからないときは、税関、検疫、通関業者、検査機関など、臆せず質問をするとよいぞ。



ありがとうございます!がんばります!
ということで、次回、輸入の現場における、検査にまつわる実例をご紹介します。お楽しみに!
記事管理No.: 038-01-260228








