
貿易事務をしているウサギさんは、フォワーダーという言葉を聞きますが、フォワーダーとはいったい何なのか、よくわかりません。
利用運送事業者?海貨業者?通関業者?
それに「甲仲」「乙仲」「丙仲」なんて言葉も聞きます。このあたりもぼんやりして、違いがいまいちよくわかりません……
フォワーダーの定義って?実は曖昧?

フクロウ博士、フォワーダーという言葉をよく聞きますが、どういう人たちなんでしょうか?
なんとなく船のブッキングを手伝ってくれる人たちのイメージがありますが……



フォワーダーとは、Forwarderのことじゃの。
実はフォワーダーには、はっきりした定義はないんじゃ



えっ、そうなんですか!?



うむ。フォワーダーは「荷物を運ぶ人」の意味じゃ。
慣習的にキャリア(前回の話参照)ではないのに国際輸送をやっている事業者を指していることが多いのう



キャリアではないのに国際輸送をやっているというと、具体的にはどんなことをしているんですか?



具体的には、船や航空便の予約やスケジュール調整、海外代理店との連絡のやり取りなどがフォワーダーの仕事じゃ。
他には、通関書類の作成や輸出入申告、貨物の輸送・保管・梱包なども一貫して手配することもあるぞ。



へえ~色々なお仕事をしているんですね。



ちなみにフォワーダーをやるには原則として、日本では利用運送業のライセンスがないといけないんじゃ。海外にも似たようなライセンスがないか、調べてみてもおもしろいかもしれんのう。
フォワーダー(Forwarder)にはっきりした定義はない。
フォワーダーは慣習的に「キャリアではないのに国際輸送をやっている事業者」を指すことが多いです。
※日本ではキャリアとは、自ら輸送手段(船や航空便・トラック・鉄道など)を持って輸送する事業者のこと。これに対し、フォワーダーとは、自らは輸送手段を持たず、荷主と直接契約して貨物輸送する事業者のことです。



はっきりとした定義がなく、人によってフォワーダーの指す範囲が曖昧なのが、混乱を招く要因かもしれんのう。
フォワーダーに似ている?「海貨業者」「通関業者」「甲・乙・丙仲」



海貨業者?通関業者?なんて言葉も聞きます。それに、「コウナカ」「オツナカ」「ヘイナカ」という言葉も聞いたことがあります。この人たちもフォワーダー?このあたりもぼんやりして、いまいちよくわかりません……



役割が似ていたり、兼業していたり、それに、法律で定義されたものなのか、慣習で呼ばれているものなのかが混在して、その辺りの区分が分かりづらくなっておるんじゃ。
イメージしやすいように、おおまかな図を用意してみたぞ


※あくまでイメージ図です。



こんな感じで、役割に重なりあっている部分があるんじゃ



これはごちゃまぜになってしまいそうですね……



まず、「海貨業者(海運貨物取扱業者)」はもともと、海上輸送にかかわる貨物の取り扱いを行う業者のことじゃ。
フォワーダーはコーディネーターの意味合いが強いのじゃが、海貨業者は海上貨物を扱う業者のことで、海上輸送に特化していた歴史があるんじゃ。
海貨業者がフォワーダーと似た業務を行うこともあるんじゃが、航空輸送なども扱う現代のフォワーダーとは少しニュアンスが違う場合もある。



なるほど……人によっては海貨業者のこともフォワーダーと呼ぶんですね。



「通関業者」は、通関業の許可を受けた専門業者のことで、荷主に代わって税関に輸出入申告をおこなうんじゃ。
本来、税関とのやり取りだけを行っている通関業者のことはフォワーダーとは呼ばないんじゃが、通関業者の中には、通関業の枠を超えて、海外とのやり取りをしたり、船の手配を行ったり、フォワーダー業務を兼業していることもあるんじゃ。
そういった通関業者は、フォワーダーと呼ばれることもあるのう。



通関業者も通関だけを専業としているところもあれば、国際輸送を手配していることもあるんですね。



「利用運送業者」は、貨物利用運送事業法に基づき、許可または届け出を行っている業者じゃ。
これは法律上の正式な立場で、自らはトラックや船、航空便を持たなくても、他社の輸送手段を使って輸送サービスを提供する。
「海貨業者(海運貨物取扱業者)」
もともと、海上輸送にかかわる貨物の取り扱いを行う業者のこと。海貨業者=フォワーダーとして扱われることも多いです。ただし、海貨業者は海上輸送に特化していた歴史があり、航空輸送なども扱う現代のフォワーダーとは少しニュアンスが違う場合もあります。
「通関業者」
通関業の許可を受けた専門業者のこと。荷主に代わって税関に輸出入申告をおこないます。本来、税関とのやり取りだけを行っている通関業者のことはフォワーダーとは呼びませんが、通関業者の中には、通関業の枠を超えて、フォワーダー業務を兼業していることもあります。
「利用運送事業者」
貨物利用運送事業法に基づき、許可または届け出を行っている業者。これは法律上の正式な立場で、自らはトラックや船、航空便を持たなくても、他社の輸送手段を使って輸送サービスを提供します。
貨物利用運送事業法に定義された利用運送事業者は、利用運送機関ごとに許可または届出が必要。
利用運送事業には、一種と二種があります。
ざっくりいうと、一種は、Port to Port(港から港まで)。二種は、Door to Door(一貫輸送)です。
利用運送事業者でも、国内のトラック手配だけを行っている貨物利用運送事業(第一種貨物利用運送事業)のことを、「みずや(水屋)」と呼んだりしています。



「コウナカ」「オツナカ」「ヘイナカ」は、「甲仲」「乙仲」「丙仲」って書くんですね。



これらは「海貨業者」の区分のことじゃ。現在の法律でこういった区分があるわけではなく、業界内で歴史的・慣習的に使われている呼び方じゃ。



なるほど。昔の言い方なんですね。



じゃが、一部は今でも使われることがあるぞ。
「甲仲」は、もともとは不定期船向けの海貨業者を指す言葉で、これは今ではほぼ死後じゃ。
「乙仲」は、現在では通関業者を指すことが多いのう。これについては、今でもちょくちょく使われるぞ。「通関業者」は法律で定義があるが、「乙仲」は慣習的な呼称じゃ。
「丙仲」は、利用運送業も通関業のライセンスを持っていない物流業者のことを丙仲と呼んでいるが、フォワーダーの場合は丙仲ではなくフォワーダーと呼ばれることが多い。
「甲仲」「乙仲」「丙仲」は昔の呼び方だが、現在も使われることがある。
甲仲:もともとは不定期船向けの海貨業者。今ではほぼ死後。
乙仲:現在では通関業者を指すことが多い。
丙仲:利用運送業も通関も免許を持たない業者。フォワーダーの場合は丙仲ではなくフォワーダーと呼ばれることが多い。



「甲仲」「乙仲」「丙仲」は現行の法律には定義はないんじゃが、旧「海運組合法」の略称の名残のようじゃの
フォワーダーを使うメリットって?



フォワーダーって、使うとどんないいことがあるんですか?



たとえばこんなメリットがあるぞ
・フォワーダー一社との契約・決済で完結
倉庫、運送会社、航空会社などと個別に契約しなくて済む。スケジュール調整も窓口を一本化できる。
・輸送手段を柔軟に組み合わせられる
船とトラック、航空機と鉄道などの複合輸送もOK。
・豊富な知識や経験に基づいた提案がもらえる
コストや日数などの面で最適な輸送方法をアドバイスしてもらえる。
・輸送中や現地でトラブル時も対応可能
荷物の紛失・遅延・書類トラブルなどのリスクも緩和。
・通関や書類手続きを一部代行
煩雑な書類手続きもお任せできる。



こんなに色々なメリットがあるんですね!



輸出入を始めたばかりの人なんかは特に、プロにお任せすると安心じゃ



自分で色々調べたり、さまざまな会社に問い合わせるのはちょっと大変ですもんね……



フォワーダーさんに物流のことをお任せすれば、自分の事業に集中できるのも大きなメリットじゃのう
フォワーダー売り上げランキング



参考まで、以下に世界のフォワーダー売り上げランキングを挙げるぞ
「世界のフォワーダー上位10社」ランキング
2023年 総ロジスティクス売上高(収益)およびフォワーディング取扱量による順位
順位 | 会社名 | 総ロジスティクス売上(百万米ドル) | 海上貨物(TEU) | 航空貨物(トン) |
1 | キューネ・アンド・ナーゲル (スイス) | 31,659 | 4,338,000 | 1,983,000 |
2 | DHLサプライチェーン株式会社 (ドイツ) | 33,869 | 3,089,000 | 1,672,000 |
3 | DSV (デンマーク) | 22,316 | 2,519,295 | 1,305,827 |
4 | DBシェンカー (ドイツ) | 21,116 | 1,783,000 | 1,148,000 |
5 | シノトランス(中国) | 14,340 | 4,309,636 | 902,000 |
6 | 日本通運(日本) | 15,929 | 1,698,161 | 693,546 |
7 | シーバロジスティクス(フランス) | 15,100 | 1,150,000** (※混載含む) | 450,000 |
8 | CHロビンソン (アメリカ) | 16,746 | 1,353,750 | 266,475 |
9 | Expeditors (アメリカ) | 9,300 | 791,700 | 782,000 |
10 | Kerry Logistics (中国) | 12,500 | 961,084 | 308,489 |
出典:https://chatgpt.com/c/680b4b19-1610-8001-bd13-82dfefd40511



日本のフォワーダーは日本通運が6位に入ってるんですね!
世界には大きいフォワーダーがいっぱいあるんですね



ここで挙げた以外にもたくさんフォワーダーがあるぞ。
海上に強いフォワーダーや、航空に強いフォワーダー、特定の地域に強いフォワーダーなど、それぞれ特色があるから、自分に合うフォワーダーを探してみるのも良さそうじゃ
・フォワーダーに明確な定義はないが、慣習的にキャリアではないのに国際輸送をやっている会社を指すことが多い。通関や海貨、利用運送などの業務を幅広くカバー。
・「海貨業者」「通関業者」「利用運送業者」は、フォワーダーと役割が重なる部分があることがある。
・「海貨業者」は、昔の慣習で「甲仲」「乙仲」「丙仲」と呼ばれることがある。
・フォワーダーを使うと、契約や窓口を一本化できて便利。豊富な知識でサポートしてもらえ、コストや日数、輸送方法などで最適な提案が受けられる。輸出入をスムーズに行いたい企業にとって、フォワーダーは心強い存在。
記事管理No.: 020-01-250531