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国際物流の登場人物④ ステベって何?

貿易事務を始めたウサギさん。
ここまで、【輸出入で最初に知っておくべきTIPS④ 国際物流の登場人物】から始まり、フクロウ博士からの講義で、国際物流に登場する「船会社」「フォワーダー」「港湾事業者」など、様々な業者について学んできました。今日はいよいよ「ステベ」について。ここは、港の現場で働くクマさんに登場してもらいましょう。

目次

「ステベ」とは?

ウサギさん

クマさん、私はいつも書類に触れているのですが事務所での仕事ばかりで、港の現場のことが想像つかないんです。どんな仕事をされているんですか?

クマさん

おお、いい質問だな。物流は会議室で起きてるんじゃないんだ。港、船の上、トラック、すべての連携でできている。俺はもう何年も港で働いてるんだが、「ステベ」は知ってるかな?

ウサギさん

あ、この前フクロウ博士から教わりました!港で貨物の積み下ろしをしてくださる業者さんですね。

クマさん

ああ、さすが、よくわかっているな。港の最前線で荷物を動かしてるプロフェッショナル。なんでこんな変な名前なんだっけな?

ウサギさん

英語のStevedoreが語源みたいですよ。

クマさん

なんだ、舌噛みそうな言葉だな。まあ、とにかくステベって言ったら、とにかく重いし、時間との戦いだし、危険と隣り合わせの大変な仕事だ。

ウサギさん

そうなんでしょうね・・・。具体的にどんな仕事をしているんですか?

クマさん

簡単に言えば、「港で貨物の積み下ろしをする」ってことなんだけど、これがまた大変だ。なんせ、コンテナを宙に吊り上げるんだから。

ウサギさん

え!あの大きなコンテナを!?

コンテナ船から荷物を降ろす。港にある、巨大キリンは何?

クマさん

ああ。コンテナ船てのにはな、20フィートと40フィートのコンテナが何千本~2万本も積まれててな。それを「ガントリークレーン」っていうでかいクレーンで一つひとつ積み下ろす。「ガントリークレーン」は分かるか?

ウサギさん

あ、港にたくさんあるキリンみたいなクレーンですね!

クマさん

ああ、そいつを扱って、コンテナを引き上げて、運ぶんだ。

ウサギさん

え、ブランブラン揺れそう・・・。

クマさん

ああ、中でも「スーパーガントリー」ってやつは、高さ50メートル。風が強い日なんかは、神経すり減らすぞ。

ウサギさん

それって、18階建てのビルくらいの高さ!ひやぁぁぁ…。

クマさん

しかも大型船が直接岸に着けないときは「はしけ」って小型船で荷物をやりとりする。潮の流れと天候を見ながら、時間との勝負だ。

港で働く「ギャング」とは?

クマさん

そのクレーンを操縦するオペレーターと、船に乗り込んで実際にコンテナを扱う人員とが、チームになってやるんだ。これを「ギャング」っていうんだ。

ウサギさん

ギャング?なるほど、もともとは「集団」を指す言葉ですもんね。

クマさん

ああ、ギャングは、信頼で成り立っているんだ。
構成は、8人1組。オペレーター2人と、下にいる6人が、信号を送りあって作業をする。実際ガンクレーンに乗り込むために上がっちまうと、トイレにも行けないし、とにかく神経を使う。心身ともに過酷な仕事なんだ。

ウサギさん

下の作業員さんは、コンテナとクレーンのワイヤロープを繋ぐんですね。

クマさん

ああ、そうだ。「ラッシング」って知ってるか? 船の揺れでコンテナが動かないように、鉄のバーを差し込んで固定する作業だ。

クマさん

バー1本で15キロ。それを狭い穴にひたすら差し込む。1時間で40本、昼の7時間で280本、夜も280本で、一日560本処理することもある。

ウサギさん

えっ…毎日それだけの本数を…!

クマさん

夏は汗びっしょり、冬は冷たい鉄が手に染みる。1本1本が地味だけど、確実にやらなきゃ危ないんだ。大型船ならコンテナが8000本以上あることもあるからな。

港は「外国」になる?

クマさん

あとな、日本の港に着いた船の上は、どこの国か分かるか?

ウサギさん

え?日本じゃないんですか?

クマさん

それが、船籍によるんだ。港ってのは、「国境」でもある。外国船に乗るには許可書が必要で、俺たちもちゃんと手続きしないと乗れない。船員も日本の土を踏むには、「数次乗員上陸許可書」てやつが必要なんだ。

ウサギさん

そっか、海外旅行に行くときの、免税店があるエリアみたいなものですね。

クマさん

そう考えればわかりやすいな。限られた時間とはいえ、この仮パスポートをもって現地を楽しむのは、船員たちにとって大きな楽しみなんだ。

ウサギさん

なるほど!重労働の合間の息抜きですね!

まとめ

ウサギさん

…なんだか、書類だけを見てた自分が恥ずかしくなりますね。物流って、本当にたくさんの人の力で動いてるんだなって。

クマさん

そう感じてくれると嬉しいよ。現場を知れば、書類の見え方もきっと変わるはずだ。

ウサギさん

はい! もっと現場のことも勉強してみたいです!

クマさん

そう感じてくれると嬉しいよ。現場を知れば、書類の見え方もきっと変わるはずだ。

まとめ:ステベのしごと、ざっくり整理

ステベとは、港で貨物の積み下ろしを行う専門作業員のこと。
・作業は8人1組の“ギャング制”で行い、クレーン操作や船内作業を分担。
・外国船への作業では、船上が“外国”とみなされるため、入船には上陸許可証などの国際的な手続きが必要。

・ステベの仕事は、港の安全と物流の円滑な運営を支える、現場の要となる存在である。

記事管理No.: 020-01-250715

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