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国際物流の登場人物⑤ 通関業者ってどんな人?

貿易事務をしているウサギさんは、貨物の輸出や輸入をする際に「通関業者さん」に書類を送っています。

すると、なぜかスムーズに輸出許可や輸入許可が下りて、貨物が通関していくのですが……。
「いったい通関業者さんって、何をしている人なんだろう?税関の人?通関士っていう人もいるみたいだけど、どんなお仕事してるんだろう?」

そんな疑問を解決すべく、知識豊富なフクロウ博士に相談してみることにしました。

目次

通関業者ってどんな人?

ウサギさん

通関業者さんって、書類を渡すと通関してくれるんですが、実際どんなお仕事をしているんですか?

フクロウ博士

通関業者は、税関に対して輸出入の申告を代行する民間の専門業者なんじゃよ。
たとえば、「この貨物は〇〇という製品で、価格はいくら、数量はいくつ、関税は何%です」……といったことを、正しく税関に伝える役目を担っておる。

ウサギさん

なるほど。私たちの代わりに税関に申告してくれているんですね!

フクロウ博士

そのとおり。さらに、通関業者の中には「通関士」という国家資格を持つ人がいて、輸出入ごとの内容を確認して、正しい方法で申告するのじゃ。 通関業者は営業所ごとに一定数の通関士を配置しなければならないと法律で決まっているんじゃよ。


税関との違い

ウサギさん

通関業者さんって税関の人なんですか?違いがよくわかりません。

フクロウ博士

それはよくある誤解じゃな。
税関は国の機関(財務省の一部)で、ルールを守らせる立場。
一方で、通関業者はそのルールにのっとって申告をするサポーターなんじゃよ。

税関と通関業者の違い

項目税関通関業者
立場国の機関(財務省)民間企業
主な役割輸出入を監視・取り締まり荷主の代わりに税関へ申告
所属国家公務員(税関職員)民間企業の通関士など
権限課税、検査、差し止めなど税関への申告代行(公的業務)
誰のために働く?国と社会荷主(輸出入者)
ウサギさん

なるほど!通関業者さんと税関の違いについて理解できました!

通関業者の主な仕事

ウサギさん

通関業者さんって、具体的にどんな仕事をしているんですか?
書類を提出した後のことはよくわからなくて…

フクロウ博士

以下に詳しく見ていこうかの。

書類作成

インボイス(仕入書)やパッキングリスト(梱包明細)などをもとに、税関に提出する申告書類を作成。
商品ごとにHSコード(税番)を振り分け、税関に適正に申告するための準備をします。書類に不備があれば、荷主(輸出入者)に指摘して訂正依頼を求めたり、どんな商品なのか不明瞭な場合は、商品カタログや製造工程表、写真などを荷主から入手し、HSコードを検討します。

税関への輸出入申告

申告書類をもとに、実際に税関への輸出入申告を行います。申告は現在、NACCSと言われる港湾関連情報処理システムを使用して行うことが主流です。通関業者がNACCSから申告情報を飛ばすと、税関がその情報を受信し、申告内容を審査します。申告内容に問題がなければ税関から輸出入許可が出ます。

関税・消費税の計算と納付サポート

輸入の場合は、関税や消費税を計算し、納付手続きのサポートします。必要な場合は現免税の手続きを行ったり、輸入貨物が経済連携協定のある国が原産地の場合は、協定税率や特恵税率などが利用できるか確認し、税率を検討します。

法令確認

輸出入が禁止されているもの、許可が必要なものについて、関連法令を確認します。関税法以外の法令は他法令と呼ばれます。例えば、食品は厚生省の分析や食品届が必要となったり、動植物はワシントン条約に抵触しないか学名を確認したり、スクラップ金属などはバーゼル法の確認をしたりといったことが必要となります。その他にも様々な法律があるので、通関業者には幅広い知識が求められます。

税関検査の手配や立ち会い

輸出入申告後、税関から検査指定があった場合は、検査の手配を行います。検査に必要なトラックやの手配のほか、検査で貨物開梱した場合は、再梱包の手配なども必要になります。開被検査の場合は、貨物検査の現場に立ち会い、貨物と書類が合っているかを税関職員と一緒に確認します。

ウサギさん

思ってたより、ずっといろんなことしてくれてるんですね…!

フクロウ博士

通関業者の仕事は、実に幅広くて奥が深いんじゃよ。

通関業者に依頼するメリット

ウサギさん

自分でも申告できると聞いたことがあるけど、やっぱり通関業者さんに頼んだ方がいいんですか?

フクロウ博士

そうじゃの。確かに自分の貨物を自分で申告しても良いのじゃが、上述のように、輸出入申告には専門的な知識が求められるんじゃ。
プロの通関業者を使うことで、様々なメリットがあるんじゃよ。

✅ ミスを防げる

貨物の分類(HSコード)や関税率の判断を間違えると、違法申告や追徴課税の原因になります。通関業者に任せることで、これらの間違いによる誤申告を防ぐことができます。

✅ 時間の短縮

経験豊富なプロが迅速に手続きを進めるので、通関にかかる時間を短縮できます。通関業者は船会社や検査業者、運送会社、倉庫会社、フォワーダーなど、貿易にかかわる様々な業者との横のつながりがある(場合によっては、通関業者が自社でこれらの機能を有していることもある)ので、迅速な手配が可能となります。

✅ トラブル時も安心

万が一トラブルが起きた場合も、プロにはノウハウがあるのでリカバリーも迅速です。特に初回商品の輸出入の場合は、書類不備や、法律の見落としなどから予想だにしないトラブルにつながる可能性があります。また、しっかり準備をしていても、輸送時に商品にダメージが出てしまったり、船が遅延してしまったり、防ぎようのないトラブルが発生し、通関に影響することもあります。こういった場合にも、プロの通関業者に任せておくと安心できます。

ウサギさん

初心者こそ、通関業者さんに頼るべきなんですね!

まとめ

・通関士という国家資格保持者が在籍し、正確な申告をサポートしている。

・税関はルールを守らせる側、通関業者はルールに従って申告する側。

・通関業者に依頼することで、ミス防止・時間短縮・トラブル対応が可能。

フクロウ博士

通関業者は見えないところで、物流を支える縁の下の力持ちなんじゃよ。

記事管理No.: 024-01-250731

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