
貿易事務をしているウサギさんは、海上貨物とAIR貨物で運賃の計算方法が違うことに気が付きました。
VAN?RT?CW?
…単位もいろいろあって、混乱してしまっているようです。
ここでは輸送方法ごとに異なる運賃の計算方法について勉強していきましょう。
運賃の単位や計算の概要

フクロウ博士、海外に荷物を送るときに、船だったり航空便だったり、比較して検討するんですが、運賃や単位がいろいろあってよくわかりません。



そうじゃのう。料金を比較しようとしても、それぞれ単位や計算方法が違うから、貿易初心者だとつまづいてしまうことも多いのう…。



VAN?RT?CW?…聞きなれない単位がたくさん出てきて、何が何だかわかりません…。



うむ。まずは表に整理してみてみよう。
表① BASE RATEの算出方法についての比較表
種類 | 海上FCL | 海上LCL | AIR(一般貨物の航空便) | AIRクーリエ (FedEx/DHLなど) |
BASE RATE 算出基準の単位 | VAN | Revenue Ton(R/T) | Chargeable Weight(C/W) | Chargeable Weight(C/W) |
単位の説明 | VAN=コンテナの本数 | R/T=実重量、容積*どちらか大きい方が適用される。 | C/W=実重量、容積重量*どちらか重い方が0.5kg単位で適用される。 | C/W=実重量、容積重量*どちらか重い方が0.5kg単位で適用される。 |
*ミニマム容積1CBM or 1tonでどちらか大きい方の数字がR/Tとなる。 | *容積重量= 容積(CBCM)÷6000 つまり〈縦(cm)x横(cm)x高さ(cm)x個数〉÷6,000 | *容積重量=容積(CBCM)÷5000※ つまり〈縦(cm)x横(cm)x高さ(cm)x個数〉÷5,000※ ※クーリエサービスによっては、容積重量が1KG=5000CBCMではない場合もあります。 | ||
ミニマム | 1VAN | 1RT ミニマム 1CBM or 1tonでどちらか大きい方の数字をRevenue Tonという。 例)1CBm1.5トンの貨物=1.5RT, 2CBM 1tonの貨物=2RTとなる。 | IATA(国際航空運送協会)のタリフにより設定されており、向け地や航空会社ごとに異なる。 | 各社契約による。 |
補足 | 20Fコンテナ1本を「TEU」、40Fコンテナ1本を「FEU」と表記することもある。 | ミニマムは一般的には1RTだが、1RTでないケースもある。 | IATAのタリフに、ミニマム料金以上の貨物に適用される賃率が段階的に設定されている。 主にCW-45kg, +45kg,+100kg,+300kg,+500kg,1000kg~のような区分で、適用重量が重くなるにつれて運賃単価が安くなるように設定されている。 |
注)上記は一般的な例になります。運賃の計算方法やミニマムは船社や航空会社等のキャリアーや条件により異なる部分も多いので、正確な運賃は各社に確認するようにしてください。



なるほど。船でもFCLとLCLで計算方法が違うんですね。
AIRも一般貨物の航空便とクーリエで異なるのは知りませんでした。



ひとつ注意としては、人によって単位なんかの呼び方が違うことがあるんじゃ。
例えば、Revenue Ton(R/T)を、人によってはVolume Weight(V/M)やChargeable Weight(C/W)と呼んだり、後で出てくるFreight Ton(F/T)と呼ぶこともあったりする。
Freight Ton(F/T)は、もしその人が「Revenue Ton(R/T)」と同じ意味で使っているなら、「1FT=1CBM or 1ton」じゃが、一部では「1FT=1.133CBM」とされることもあるんじゃ。



ええ…そうなんですか?
どちらの使われ方をするかによって、こっちが思っている数字と違ってしまうのは困りますね。



そうじゃのう…
統一されれば楽じゃが、昔からの名残や、その会社や業界の都合もあるから、全て統一するのもなかなか難しいのが現状じゃ。
その人が自分と同じ認識でその単位を使っているのか、疑問に思った場合は確認をして、誤解のないように気を付けることが大切じゃ。
人によって単位などの呼び方が違うことがあるので注意。
例えば、Revenue Ton(R/T)を、人によってはVolume Weight(V/M)やChargeable Weight(C/W)と呼んだり、後で出てくるFreight Ton(F/T)と呼ぶこともある。
相手と認識のずれがないか、よく確認して気を付けよう。
実際に計算してみよう



次に、実際の計算例を見てみよう。
表② 計算例
種類 | 海上FCL | 海上LCL | AIR(一般貨物の航空便) | AIRクーリエ (Fedex/DHLなど) |
例題 | 例) 本数: 20Fコンテナ2本 日本からベトナムへの海上運賃単価:USD600 として | 例) 貨物個数: 5 PALLET 貨物重量:@200kgx5PL=1000kg 貨物サイズ:@110x110x1400cm=1.694CBM x 5PL = 8.47CBM 日本からシンガポールへの海上運賃:USD30 として | 例) 貨物個数: 1 PALLET 貨物重量:300kg 貨物サイズ:縦115cm・横115cm・高さ150cm 日本からカナダへの航空運賃:JPY1,300 / 1kg として | 例) 貨物個数: 1 PIECE 貨物重量:2kg 貨物サイズ:縦30cm・横20cm・高さ20cm タイから日本への航空運賃:THB 55/ 1kg として |
計算方法 | ●海上運賃の計算 VAN x FREIGHT 日本からベトナムへの海上運賃USD300なので、 2VAN x USD300 = USD600 | ●R/T = 容積1.694 M3 実重量1,000kg(1トン) の場合、 1.694>1.0 なので、R/Tは「1.694 R/T」 ●海上運賃の計算 R/T x FREIGHT 日本からシンガポールへの海上運賃:USD30 なので、 R/T1.694 x USD 30 = USD50.82 | ●実重量 =300kg (1PLT分の貨物重量) ●容積重量 縦115cm × 横115cm × 高さ150cm÷6,000 = 約330.63kg = 小数点以下切り上げで331kg ●Chargeable Weight 実重量 300kg < 容積重量 331kg よってChargeable Weight=331kg。 ●航空運賃の計算 C/W x FREIGHT 日本からカナダへの航空運賃:JPY1,300 / 1kg なので、 航空運賃 = 331kg × JPY1,300 = JPY 430,300 | ●実重量 =2kg (1PS分の貨物重量) ●容積重量 縦30cm × 横20cm × 高さ20cm÷5,000 = 2.4kg = 0.5単位計算で2.5kg ●Chargeable Weight 実重量 2kg < 容積重量 2.5kg よってChargeable Weight=2.5kg。 ●航空運賃の計算 C/W x FREIGHT タイから日本への航空運賃:THB 55/ 1kg なので、 航空運賃 = 2.5kg × THB 55 = THB 137.5 |
答え | 今回の例では海上運賃はUSD600となる。 | 今回の例では海上運賃はUSD50.82となる。 | 今回の例では航空運賃はJPY430,300となる。 | 今回の例では航空運賃はTHB 137.5となる。 |
補足 | ※R/T:1CBM=1TON=1RTが一般的ですが、あくまで重量と寸法の比較用の数字なので、別の例が存在する場合があります。 |
注)上記は一般的な例になります。運賃の計算方法やミニマムは船社や航空会社等のキャリアーや条件により異なる部分も多いので、正確な運賃は各社に確認するようにしてください。



具体例があると分かりやすいですね!
こうやって運賃は計算されるんですね。



うむ。上記を参考に、自分の貨物でも計算してみるといいかもしれんの。あくまで上記は一般例じゃから、正確な運賃などは実際に使う船社や航空会社等に確認すると安心じゃ。
才数について



今までの話には出てきてないのじゃが、才数という単位が出てくることもあるので少し触れておこう



才数?初めて聞きました…



才数は体積を表す単位の一つじゃ。才数は尺貫法じゃが、現在、尺貫法ではなくメートル方が主流じゃから、確かに現在では使うことが少なくなったのう



なるほど。それで聞いたことがなかったのですね



じゃが、港湾荷役や危険倉庫、運送などでは、今も才数が使われておる。海上輸送の在来船などを使う場合には、才数についても知っておいて損はないぞ。
在来船運賃はR/T(上記表①、表②の海上LCLを参照)で出されることが多いんじゃが、在来船に関連する港湾荷役(ランディングチャージ等)は才数が使われるんじゃ。
Freight Ton(F/T)という単位もしばしば出てくるぞ。
一般的には、1FT=1TON=40才=1.133CBMじゃ
港湾荷役(ランディングチャージ等)は才数が使われ、在来船運賃はR/Tで出されることが多い。
一般的には、1FT=1TON=40才=1.133CBM
*FT=Freight Ton(F/T)。上述の通り1FT=1.133CBMだが、R/Tと同じ意味で使われることもある。



こういう単位もあるんだって予め知っておけば、慌てないで済みそうですね!
・海上運賃や航空運賃の計算方法はそれぞれ異なる。
・海上FCLはVAN、海上LCLはRevenue Ton(R/T)、AIR(一般貨物の航空便)やAIRクーリエ(FedEx/DHLなど)はChargeable Weight(C/W)が、それぞれ運賃BASE RATEの算出基準の単位となる。
・運賃の計算方法やミニマムは船社や航空会社等のキャリアーや条件により異なる部分も多いので、正確な運賃は各社に確認すると安心。
・人によって単位などの呼び方などが異なることがある。その人が自分と同じ認識でその単位などを使っているのか、疑問に思う場合は確認をして、誤解のないように気を付けることが大切。
・港湾荷役や危険倉庫、運送などでは今も才数が使われることがある。
記事管理No.: 018-01-250430