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貨物自動車運送事業法改正② クマさんが語る「トラック業界現場の声」

新人貿易事務ウサギさん。前号物流の未来が変わる?ウサギさんと学ぶ「貨物自動車運送事業法」の改正①では、2025年5月に公布された「貨物自動車運送事業法の改正」について、フクロウ博士から概要を学びました。
では、現場はどう見ているのでしょう?物流現場のベテラン、クマさんに話を聞いてみましょう。

目次

現場が一番恐れているのは???更新制度が持つ意味

ウサギさん

クマさん、フクロウ博士からは「貨物自動車運送事業法」は、トラック事業者の皆さんを守るための法律で、それがさらに改善されることを目的に法買い手となった、と学びました。現場の皆さんはどう感じているのでしょうか?

クマさん

そうか。フクロウ博士から大枠を学んだなら良いスタートだ。ウサギさんは、どんな影響があると思うかい?

ウサギさん

そうですね、実行されれば素晴らしいと思うのですが、適正価格など、具体的にいくらに設定されるのかわからないので、なんだかモヤモヤかんはあります。

クマさん

そうだなあ。ウサギさんは荷主側だから、金額のことが特に気になるだろう。でも、俺たちトラック業界では、もっと別のことを心配しているんだ。

ウサギさん

え?それは何ですか?

クマさん

免許の更新制度だよ。

ウサギさん

え?更新制度?

クマさん

そうだ。事業許可を5年ごとに更新する仕組みができた。これまでは一度許可を取れば、よほどの違反がない限り事業を続けられたのが、今後は、定期的な更新申請が必要になる。

ウサギさん

どんなことをチェックされるんですか?

クマさん

はっきり基準までは策定されていないんだが、法令遵守体制、安全対策、基準価格を守っているかはもちろん、赤字経営に陥っていないか、社会保険を払っているかも確認され、できていない会社は更新できない可能性がある。

業界の再編が進む

ウサギさん

制度のしっかりしている大手はよいでしょうが、中小企業には厳しい状況になりそうですね・・・。

クマさん

そうだな、トラック業界を健全に保つためとはいえ、中小も多く、更新作業をするだけの人員確保だって大きな負担になる。

ウサギさん

ですよね。それだと業者の数は減ってしまうのでは?

クマさん

その通りだ。ウサギさんは、「平成の物流2法」はわかるかな?

ウサギさん

いえ、何ですか?それ?

クマさん

平成元年に施行された、
「貨物自動車運送事業法」
「貨物運送取扱事業法」
だ。
昭和から平成にかけて物流量増加に対応できるよう、規制を緩和し、多くの業者が運送業に参入できるようにした。それに伴い、トラック事業者は4万社から6万3千社に急増したんだ。その結果、安さ競争が激化して、業界全体が疲弊したのも事実だ。今回の改正は、その逆で“淘汰”を進めるものだよ。

ウサギさん

具体的にはどのくらい減ると予想されていますか?

クマさん

貸切バス業界が参考になる。2016年、軽井沢で痛ましいバス事故が起きただろう。その時、貸し切りバス業界でも同じように更新制度が導入されて、8年で3分の1の会社が撤退した。トラック業界も、零細規模や下請け中心の会社は厳しくなることが予想されているんだ。

ドライバー不足との関わり

ウサギさん

業者が減れば、物流は混乱しませんか?

クマさん

そうなんだ。ただ、問題は“実効性”だよ。制度が本当に機能するのか。現場では『絵に描いた餅にならないか』と心配する声もある。行政がきちんと監視・指導できるかどうかが試されるんだ。

ウサギさん

なるほど。短期は混乱、長期は改善、ということですね。

業界の温度差と社会の理解

ウサギさん

業界全体はこの改正を歓迎しているんですか?

クマさん

業界全体を健全に保つには必要なことだよ。協会の幹部層は歓迎しているけど、現場の事業者の盛り上がりはまだ弱い。小さな会社は“本当に実現するのか”と疑っている人も多いよ。だからこそ、業界の声を行政に届ける努力が必要なんだ。

ウサギさん

荷主や消費者の理解も必要ですね。

クマさん

その通り。物流コストは社会への投資だよ。今までは当たり前のようにモノが届いていたけど、それは業界が身を削って成り立っていた。これ以上は無理を続けられない。物価への転嫁は避けられないが、それを“健全な形に変える”タイミングなんだ。

クマさんのメッセージ(まとめ)

ウサギさん

なるほど…更新制度は業界の再編と、ドライバーの待遇改善につながるんですね。

クマさん

極端に安い運賃でやっている業者や悪質な業者は撤退せざるを得ないだろうね。そのうえで残った業者が安全と品質を守り、ドライバーの働き方を改善していく。これは大きな転換点なんだ。

ウサギさん

フクロウ博士からは荷主の心得を学びましたが、今回は業界の覚悟を知ることができました。

クマさん

物流は社会を支える血管みたいなものだ。誰もが安心して働ける環境に変えていくことが、社会全体の利益につながるんだよ。

「法律改定」も紐解いていけば、身近な問題であるのがわかりました。不安なことがあれば、貿易のプロである通関士、物流会社に相談してみるのも一つの方法です。

私たち相広物流は、こういった疑問も、一緒に考え、解決していきます。ぜひ、お問い合わせください。

記事管理No.: 020-01-250831

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