商社で働くウサギさんは、輸入食品の案件を任されることになり、少し不安そう。
そこで今日も、物知りなフクロウ博士に相談しにやって来ました。
食品の輸入手続き

ウサギさん博士〜!助けてください!食品の輸入って、手続きが多すぎて頭パンクしそうです……!



ほほう、食品輸入に挑戦するのか。よし、今日は“流れと必要書類”を一気に整理してしまおう。



お願いします!もう、どこから手をつければいいのか……。



大丈夫じゃ。ひとつずつ流れに沿って説明していくから、安心してついてくるのじゃぞ。
押さえるべき基本の流れは、
① 輸入前の確認(事前準備)
② 食品の届出(厚生省)
③ 通関手続き(財務省)
この3つじゃ!
※注)今回ここでご紹介するのは、あくまで一般的な流れになります。
食品は商品の種類などによって流れや手続きの方法が異なることが多いのでご注意ください。
① 輸入前の確認(事前準備)



輸入前の確認って?
商品が日本に届いてから確認ではダメなんですか?



いやいや。食品は、人が口にするものじゃろう?
関税法など(財務省)だけでなく、食品衛生法などの他法令(厚生省、農林水産省など)も絡むから確認事項は特に細かいんじゃ。



日本で売ってOKかどうかを出発前から確認しなきゃいけないんですね。



その通りじゃ。
注意点としては、食品だけでなく、食べ物に直接触れる食器や口に入れてしまう可能性がある乳幼児向け玩具なども食品衛生法の対象になるから要注意じゃ。
具体的には、以下のような点をチェックするぞ。
・食品衛生法の規格に合っているか
・使われる添加物は日本で認められているか
・残留農薬が基準以下か
・包装の材質は安全か(プラスチックの場合は、ポジティブリストに載っているものかどうか)
・適切な方法で製造されているか
など。



もし、1つでもダメだったら?



残念じゃが、そもそも輸入できないのじゃよ。



ガーン。



日本に着いてから、輸入できないとなってしまうのが一番悲しい結末じゃ。
そうならないために、事前の準備は欠かせない。
確認には主に、以下のような書類が必要となるぞ。
【必要な書類】
・原材料リスト
・製造工程表
・加工食品の場合、製造者の分かる資料
・加工食品の場合、製造所の分かる資料
【物によって必要】
・規格がある商品については、規格に合致しているかどうか確認できる資料
(例:製造規格、保存規格など。)
・商品写真など、商品形態の分かる資料
・分析結果
※物によっては輸出国側で分析したほうが良いものもあれば、日本に到着してからでないと分析できないものもある(例:冷凍食品など。輸送日数や輸送方法によって食品が変質する恐れがあると、日本側で分析が必要な場合が多い)。
など。
※必要な資料は、商品の種類によって、ケースバイケースなことが多いです。



食品は確認事項が多いため、
資料を送付→質問→その質問に回答する資料送付→再質問…
のように、やりとりのリレーで時間がかかることも多いので注意じゃ。
確認だけで何か月もかかることがあるから、余裕をもって準備することが重要じゃ。
② 食品の届出(厚生省)



事前確認が無事に済んで、実際に日本に輸入することが決まったらどうしたらいいですか?



まず手続きとしては、検疫所に“食品等輸入届出書”を提出するぞ。



どんなことを審査されるんです?



規格基準に合っているか、安全性はどうか、以前違反歴がないか……などじゃな。
ここでは、必要に応じて 主に以下の検査が行われます。
・自主検査
・命令検査
・モニタリング検査
(その他、行政検査など)
検査が不要又は検査の結果問題ないと判断された貨物は、食品等輸入届出済証(以下、済証という)が交付されます。



では、それぞれの検査の特徴を見ていこう。
●自主検査
食品の規格にあっているかどうか、基準を満たしているかどうかを確認する。
自主検査という名前で誤解されやすいが、自由に検査するわけではない。
指導検査の一種。輸入者が1年に1回実施。
(食品は1年に1回ですが、器具などは製造所や原材料変わらなければ永続のことがあります。)
●命令検査
違反が多い品目などに対して、必ず受ける義務のある検査。
検査業者から厚生省へ直接検査結果が送られる。
●モニタリング検査
年間計画に基づくランダム検査。検疫所が費用負担して採取して分析する。
※自主検査・命令検査は検査の許可(済証)が出ないと、税関の輸入許可も下りません。
※モニタリングは完了しなくても許可(済証)が出ます。そのため、食品の済証と税関の許可が前後することがあります。ただし、モニタリングで異常が出たら、貨物を流通させないでください、という連絡がくるので、貨物を止めなければなりません。



検査にもいろいろな種類があるんですね



検査に問題がなく、“済証”が出たら、いよいよ税関手続きに移るぞ!
※今回の話では詳しく触れませんが、検査の種類などによって、食品の許可と税関の許可のタイミングが前後することもあります。
※今回、分かりやすくするために、厚生省の手続きに絞って記載していますが、商品によっては、厚生省以外の法令が関わることもあります。
例として、「植防(しょくぼう/植物検疫)」「動検(どうけん/動物検疫)」と呼ばれる農林水産省の手続きが関わる場合、厚生省の食品届出時に、衛生証明書などの書類を求められることがあります。
そのほかにも、主要食糧法(お米など)、IQ(輸入割当制度、輸入枠をもっていないと輸入できない)、ワシントン条約(絶滅危惧種など)、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律、薬機法など、その他さまざまな法令が絡む場合があります。
厚生省だけの手続きよりも手続きが煩雑になるので、より一層先回りした準備が必要です。
③ 税関手続き(財務省)





博士!食品の届出が終わりました!いよいよ税関の手続きですか!?



そうじゃ。ここでは“輸入申告書”を出し、関税や消費税も払う。
このプロセスは食品以外の一般的な輸入貨物の「通関」と同じじゃの。



いつもの輸入書類の出番ですね!
・インボイス(Invoice)
・パッキングリスト(Packing List)
・アライバル(Arrival Notice)
・B/L (Bill or Lading)



うん、ウサギさんも分かってきておるの。
それらの書類を元に輸入申告じゃ。
問題がなければ“輸入許可”が出るから、これでようやく食品を引き取れるんじゃ。※



ここまで長かったぁ〜!
※お酒などは、貨物を引き取る前に、規定のラベルの貼り付けが必要です。流通前に自社の倉庫などで貼り付ければ良い販売用ラベルなどと異なり、お酒などの場合は保税エリア(港などに外国貨物として蔵置しておくエリア)から出す前にラベルが貼り付けてあることが必要となります。
まとめ
食品輸入の基本は、次の3ステップです。
- ① 輸入前の確認(事前準備)
- ② 食品の届出(厚生省)*商品によっては、農林水産省など別の省庁の法令が関わる可能性アリ。
- ③ 通関手続き(財務省)



事前に準備できる書類は事前に揃えておくと、手続きはスムーズに進むぞ
主な必要書類まとめ
| 手続き | 書類 | 何に使う? |
| ①輸入前の確認(事前準備) | 成分表、製造工程表、添加物リスト、概要説明・商品写真(輸入時の状態が分かるもの。例えば、コーヒーなら豆の状態なのか、ペットボトルなのか、缶なのか、等) | 日本で販売できるかの判定。そのまま通関時にも利用されます。 |
| ②食品の届出(厚生省) | 食品等輸入届出書 (許可になると、届出済証になる。) | 厚生省へ提出 |
| ③税関手続き(財務省) | インボイス、パッキングリスト、A/N、B/L、輸入申告書 | 税関への輸入申告 |
| ~その他注意する手続き~ ラベル貼りなど | (お酒など一部の商品)日本語表示ラベル、翻訳資料 | 国内販売時に必要。お酒の場合は保税倉庫を出す前にラベルが必要なので注意。 |



細かい手続きは多いが、慣れれば必ずできるようになる。書類をしっかり揃えて、ひとつずつクリアしていけばよいぞ。



今日からまた輸入担当として頑張れそうです!
食品輸入は、①輸入前の確認(事前準備)、②食品の届出(厚生省)、③税関手続き(財務省)、という流れで進みます。
それぞれの段階で必要書類が異なり、事前準備が不足すると思わぬ時間とコストがかかることもあります。
とくに食品は、人の口に入るものだからこそ、ルールが厳しく定められています。
書類をしっかり揃えて、ひとつずつクリアしていきましょう。
相広物流株式会社は、食品に力を入れている物流会社です。もし手続きや書類対応に不安を感じたら、無理に一人で抱え込まず、プロに相談してみるのも良いでしょう。
記事管理No.: 035-01-260115








