
商社の新人貿易事務として奮闘するウサギさん。
会社の事業拡大として、食品の輸入も開始することになりました。
前回「食品を輸入するときの手続きと必要書類の概要」で、
- 輸入前の確認(事前準備)
- 食品の届出(厚生省)
- 通関手続き(財務省)
について学びました。 中でも一つ、気になることが見つかった模様。引き続き、頼れるフクロウ博士にお話を聞いてみましょう。
はじめに|食品輸入の大枠 食品届と検査
ウサギさん博士、食品の輸入について、流れはわかってきましたが、「検査」のことがわからなくて。詳しく教えていただけますか?



もちろんじゃ。ウサギさんもステップアップじゃな。
まずは、前回の復習。どんな種類の検査があるかは、覚えているかな?



はい、この3つですね。
- 自主検査:食品の規格にあっているかどうか、基準を満たしているかどうかを確認
- 命令検査:違反が多い品目などに対して、必ず受ける義務のある検査
- モニタリング検査:年間計画に基づくランダム検査



ご名答!では、どうしてこのように分かれるかわかるかな?



うーん、やっぱり食品添加物や残留農薬などリスクの高い食品と、単純な加工品など、危険度の違いでしょうか?



よく気付いたね。違反や危険の高い食品は、より厳しい検査が求められる。輸入する食品や輸出国によって、どんな検査が必要かわかれているのじゃ。そもそも検査がいらないものもある。



そんなに違うんですね。



では、ひとつずつ見ていこう。
自主検査|食品の規格にあっているかどうか、基準を満たしているかどうかを確認





「自主検査」っていうと、輸入者が必要と判断したものを検査するってことですか?



誤解されやすいが、そうではないんじゃ。指導検査の一つで、検査項目は決まっている。ただ、法律で必ずやれ、というものではなく、そういう意味では輸入者が自分たちの判断で行う検査じゃ。



理解が難しいですが、検査結果の提出を必ず義務付けられているわけではないけれど、安全のためには当然チェックするよね、というような暗黙の了解的なものですか?



平たく言えばそうじゃな。検査していないものは、輸入時に確認を求められたり、輸入がストップする可能性もある。通関士も安全のために必ず検査結果の確認をする。そういう意味で、「やってもやらなくてもよい」というものではなく、結果的に「必ず必要な検査」といえるんじゃ。



検査のやり方は自由なんですか?



いや、検査項目や検体も決まっており、それに沿ったものでなくてはならない。



実際は「自主」じゃないんですね。



まぁ、誤解を招きやすい名称ではあるのぉ。ただ、法律で義務付けられているわけではないのでこう呼ばれる。



どんな検査を受けるんですか?



フクロウ博士:いくつか例を挙げよう。
- 清涼飲料水(ヒ素、鉛、スズ、大腸菌群など)
- 穀物・豆類・野菜類(残留農薬)
- 冷凍食品(細菌数、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌など)
- 食品中の食品添加物(安息香酸、BHA、酸性タール色素など)



うわぁ、食品によって違うんですね。



そうじゃな。例えばカビの生えやすいもの、菌が繁殖しやすそうなもの、そうでないもの、そう考えれば、リスクが違うのも理解しやすいじゃろう。



そうですね!見当はずれの検査をしても仕方ないですし、検査項目が決まっているのは、ある意味便利ですね。



その通り。すべて安全管理のために理由があって決まっているんじゃ。
命令検査|違反が多い品目などに対して、必ず受ける義務のある検査



命令検査は、やっぱり一番大変そうですね…。



そうじゃなぁ、よりリスクの高い食品で起き、検査方法も限られるのでコストへの影響もある。例えば、こんな条件がある。
- 検査費用は輸入者負担
- 検体は検査機関から検疫所へ直接送付
- 保税倉庫でしか検査できない
- 結果が出るまで通関不可



どんな食品が命令検査対象になるんですか?



主な例を見てみよう。
- アフラトキシン(カビの一種):イタリアの特定の業者によって加工された栗、ピスタチオ、ヘーゼルナッツを含む食品
- ヘキサゴナゾール(殺虫剤の一種):インドの特定の業者によって加工された紅茶
- サルモネラ菌:インドネシア産生食用切り身マグロで特定の業者によって製造されたもの
- エンドリン及びクロルピリホス(残留農薬):中国産冷凍ほうれんそうのうち、特定の業者に加工されたもの
詳しくは厚生労働省「食品衛生法第26条第3項に基づく検査命令の実施について(健生食輸発0328第1号)」参照



製造業者まで特定されているんですね!



そうじゃ。違反を起こした業者に対する取り締まりだということがわかるじゃろう。



なるほど。違反をするとその業者に対して取り締まりが厳しくなるんですね。自分の取引先が違反をしないよう、信頼できる業者を選ぶことが第一ですね。
モニタリング検査|年間計画に基づくランダム検査



モニタリング検査は、どんな位置づけなんですか?



モニタリング検査は厚生労働省大臣の指示のもと実施される検査で、輸入食品監視指導計画に基づいて実施される。



計画的に行われるんですか?



うむ。計画は発表されるので、どういった食品がモニタリング対象になるかはわかるが、それも幅広く、また実際どの貨物で実施されるのかはわからない。



抜き打ち、ということですね。



その通り。しかし、あくまで「協力をお願いする」という立場であるため、検査費用は国が負担するし、検査結果を待たずに輸入手続きを進めることもできる。



そうなんですね!でも、待っている間はドキドキですね・・・。



不合格の場合、当然販売はストップ。回収対象となるので、注意が必要じゃ。



ここでもやはり、安全な食品を輸入するための自主的な管理、業者選びが肝心ということですね。


まとめ:「自主検査」「命令検査」「モニタリング検査」の違い
- 自主検査:食品の規格にあっているかどうか、基準を満たしているかどうかを確認。義務ではないが、輸入者が自らのリスク管理として行う。
- 命令検査:違反が多い品目などに対して、必ず受ける義務のある検査。特定の品目と国、場合によっては製造業者による品目が対象となり、事前に検査対象がわかっている。
- モニタリング検査:年間計画に基づく安全管理を目的としたランダム検査。費用は国が負担し、結果を待たず輸入ができるが、違反が発覚したら回収対象となる。



それぞれの違いがよくわかりました!ありがとうございます。



では、現場の事例を見てはどうかな?どういう判断で検査の種類が決まるか、よくわかるそ。



ぜひ伺いたいです!お願いします!
ということで、次回、輸入の現場における、検査にまつわる実例をご紹介します。お楽しみに!
記事管理No.: 036-01-260131








