ウサギさん博士〜!物流の仕事をしていると「保税地域」とか「保税品」って言葉をよく聞くんですけど、正直よく分からなくて……。



「保税」は貿易や物流を支える、とても重要な制度なんじゃよ。


保税とは何か?



保税は、英語では「Bonded」と表記される。
物流業界では、よく「ボンド」と呼ばれたりするの。



そもそも「保税」って、関税を払わなくていいって意味なんですか?



それはちょっと違うのう。
保税とは、関税などの支払いを“一時的に留保する”仕組みのこと。
簡単に言うと、「関税などを払うのをいったん待ってもらう」ということじゃの。



払わなくていいわけじゃないんですね。
でも、何のために「保税」なんて仕組みがあるんですか?



税関がきちんと管理・確認するためじゃ。
これによって、不正や密輸を防ぎつつ、スムーズな貿易ができるんじゃよ。
保税とは、
関税・消費税の支払いを“留保”できる制度
通常、海外から商品を輸入するときは、通関時に税金を支払います。
しかし保税制度があれば、税金の支払いを後回しにできます。
保税制度の概要



「保税」が関わるのは、輸入の時だけってことですか?
関税が発生するのは輸入ですもんね?



確かに「関税を留保」と聞くと
輸入だけの制度だと思われがちじゃが、
輸出の場合も「保税」は密接に関わるぞ。



えっ!



輸出の場合、輸出許可になった後の貨物は「内国貨物」から「外国貨物」になるじゃろ?



あ、「内貨(内国貨物)と外貨(外国貨物)」は以前の記事に出てきましたね!



うむ。その「内貨と外貨」じゃ。
外国貨物は日本国内に流通してはいけない貨物じゃから、好きな場所に勝手に置いたりすることができないのじゃ。
原則として、外国貨物は保税地域にしか置くことができないんじゃよ。



保税地域?



「保税地域」とは、保税が認められたエリアのことじゃ。
「外国貨物」つまり輸出の許可を受けた貨物や、輸入の許可前の貨物が「保税地域」に集まっているイメージじゃ。
貨物は主にこの「保税地域」内で、内貨から外貨になったり、外貨から内貨になったりするぞ。
「外国貨物」は原則として保税地域にしか置けない。
つまり、輸出の許可を受けた貨物や、輸入の許可前の貨物は「保税地域」に集まっている。
貨物は主にこの「保税地域」内で、内貨⇔外貨に切り替わる。



保税って、輸入にも輸出にも関わる大事な仕組みなんですね。



保税制度には、この「保税地域制度」のほかに、
保税運送制度(OLT)もあるぞ。



保税運送?



「保税運送」は、保税状態(外国貨物)のまま行う運送のことじゃ。
保税地域制度:
外国貨物を保管・管理する場所を定める制度
保税運送制度(OLT):
保税状態(外国貨物)のまま運べる仕組み



一つずつ、詳しく見ていこう。
①保税地域制度





保税地域って、港とか空港だけにあるんですか?



実は内陸にもあるんじゃ。
物流の効率化のため、港湾部だけでなく内陸にも設置されておる。



へぇ~、内陸にもあるんですね!



うむ。保税地域にはいくつか種類もあって、次の5つに分かれておるぞ。
| 種類 | 機能 | 蔵置期間 | |
| 1️⃣ 指定保税地域 | 港や空港にある公共施設。短期間の保管が中心。 例)CY など | 1か月 | |
| 2️⃣ 保税蔵置場 | 民間の倉庫が多く、長期保管が可能。梱包・開梱などの作業もしやすい。 例)CFS、倉庫、上屋 など | 2年(延長可) | |
| 3️⃣ 保税工場 | 外国貨物を原料に加工・製造できる。関税をかけずに輸出できる。 例)様々な製品の製造工場、造船所、製油所、製鉄所 など | 2年(延長可) | |
| 4️⃣ 保税展示場 | 展示会や博物館など、期間限定で使われる施設。 例)展示会、博覧会 など | 税関長が必要と定める期間 | |
| 5️⃣ 総合保税地域 | これらの機能をすべて備えた特別な地域。 例)中部国際空港 など | 2年(延長可) | |



保管するだけじゃなくて、外国貨物のまま加工や展示もできるんですね。



外国貨物の中には、日本を経由するけれど日本国内には流通させず、加工して再輸出したり、日本で展示した後、そのまま海外の展示会に回されたりする貨物もあるから、その都度税金を支払うのは不合理じゃ。
税金を支払うタイミングを遅らせることで、企業の負担も減るし、物流が止まらずに回るんじゃ。



目的にあわせて、保税地域にもいろいろな種類があるんですね。



全国の保税地域の一覧は、以下の税関ページからも確認することができるぞ。
税関ページ 保税地域一覧表・承認工場一覧表
https://www.customs.go.jp/hozei/hozeiichiran.htm
(外部サイトに飛びます)
②保税運送制度(OLT)





保税運送制度とは、 外国貨物のまま、保税地域から別の保税地域へ運送できる制度のことじゃ。
よく「OLT」とも呼ばれるぞ。



OLTって、そもそも何の略なんですか?



「Over Land Transportation」の略じゃの。
例えば、
・輸出入の許可前の貨物を検査場所まで運びたい
・輸出許可になったけど、やっぱり別の港から輸出したい
・港から内陸へ外国貨物のまま運びたい
こんなときによく使われる制度なんじゃよ。



OLTって、誰でも勝手に使えるんですか?



保税運送を行うには、税関長の承認が必要じゃ。
実際の承認通知書は以下のようなイメージじゃ。





運送目的・船名・数量……発送地や到着地なんかも税関に伝えないといけないんですね。



うむ。外国貨物は国内に流通してはいけない貨物じゃから、もしも貨物が行方不明になると大変じゃ。
事前にしっかり申請し、承認を受けてから運送するんじゃな。
まとめ



保税があることおかげで、
国際物流がスムーズになるということが分かりました!



うむ。保税は貿易の円滑化のために必要な仕組みじゃ。
これを理解することで、ウサギさんも輸出入の手配がぐっとしやすくなるはずじゃ。



ありがとうございます博士!
保税が内貨や外貨ともかかわっていると分かって、
物流の流れがつながりました!
これからの手配、ちょっと楽しみになってきました。
保税とは、輸入や輸出の途中で発生する関税や消費税の支払いを、一時的に留保できる制度です。
税関の管理下で貨物を扱うことで、不正や密輸を防ぎつつ貿易を円滑に進める目的があります。
輸入許可前や輸出許可後の貨物は「外国貨物」となり、原則として保税地域にしか置けません。
保税地域には港や空港だけでなく、内陸にも設置され、保管・加工・展示などが可能です。
また、保税運送制度(OLT)を使えば、外国貨物のまま保税地域から別の保税地域へ運送できます。
保税制度は、輸入・輸出の両方に関わる重要な仕組みです。
記事管理No.: 037-01-260215








