
「ウサギさん、大変です。今回の貨物ですが、税関から内容確認の連絡が来ています」
通関業者からの突然の連絡に、ウサギさんは驚きました。
「えっ……?書類は全部そろっていたはずです。何か問題があったのでしょうか?」
詳しく話を聞くと、インボイスに記載されていない物品が貨物の中に含まれていて、このままでは申告できないという内容でした。
困ったウサギさんは、フクロウ博士に相談することにしました。
ウサギさんフクロウ博士、輸入した貨物の通関が止まってしまったんです……



ふむ……輸出者は誰かの?



アメリカのキツネくんです。購入した商品と一緒に、サンプルも送ってくれたそうなのですが……


輸出者の“善意のサービス”が原因に?
~~ウサギさん、輸出者のキツネくんとの過去のやり取り回想中~~
***



ウサギさん、商品は発送しておいたぞ



ありがとうございます。インボイスも確認しました



そういえば、コンテナに少し空きがあったから、新しい商品のサンプルを入れておいたぞ



サンプル?



俺のカッコいいイラストの入ったオリジナルマグカップだ!
今回は特別サービスだから、お金はいらないぞ。
サンプルが気に入ったら、いっぱい買ってくれよな



そうなんですね。ありがとうございます



後から思いつきで追加したから、インボイスに品名は書いてないけど、どうせ0円だから書かなくても大して問題ないだろ
***



ちょっと待った!ここが問題じゃ
インボイスに書かれていない貨物は「申告外物品」になる



フクロウ博士、上のやり取りの何がいけなかったんですか?



まず、インボイスに記載されていない貨物が含まれていた場合、それは『申告外物品』と見なされるのじゃ



申告外物品……ですか?



キツネくんは、インボイスに商品名などを書いていなかったじゃろ?
通関は、インボイスやパッキングリストなどの書類に基づいて行われる。つまり、書類に記載されていない貨物は、書類審査する通関士も存在に気づけないことになってしまい、申告が漏れてしまうんじゃ。
そうすると、『申告されていない貨物』と同じ扱いになるのじゃ



0円のサンプルでも、ですか?



そうじゃ。販売用かどうか、有償か無償かは関係ない。貨物として輸入される以上、すべての物品を正確に申告する必要があるのじゃ
「無償=0円」ではない?通関で必要なのは“貨物の価値”



じゃあ、キツネくんにきちんと話をして、インボイスに商品名を書いてもらったらいいんですね。



うむ。その時に注意が必要なのは、サンプル品の価格を0円と記載しないことじゃ



えっ!無料なのに、0円と書いてはダメなのですか?



通関では、『無料かどうか』ではなく、『貨物としての価値』が重要なのじゃ。
輸入通関では、関税や消費税の計算のために、貨物の価格を申告する必要がある。たとえ無償で提供されたサンプルでも、通常の販売価格や製造原価などを基にした、合理的な価格を申告しなければならないのじゃ
無償品は、例えば、
・通常販売している商品なら、その販売価格
・サンプル品なら、製造原価や同等品の価格
などを基に価格を記載します。



次に、実際の書類の記載例を見てみよう
書類の記載例





このItem No.3 “PLASTIC MUG Kitsune-kun design (SAMPLE)” が無償のサンプル品じゃな。
このように、サンプル品であっても品名をきちんと書いて、無償品であっても「0円」ではなく金額を書くことが重要じゃ



N.C.V.って何ですか?



これはNo commercial valueの略じゃ。
本来無償品で、通関用に金額を記載する場合は、
「No commercial value(商業的価値なし)」
「For customs purposes only(通関目的の価格)」
のような表記を用いることが多いんじゃ
「No commercial value (N.C.V. / 商業的価値なし)」
「For customs purposes only(通関目的の価格)」
と補足することで、無償提供であることを示すことができます。



なるほど。こういう文言があると、通常の有償で売買する貨物と混ざらなくていいですね



うむ。
一方、以下は悪い例じゃ





これだと、通関士や税関が書類を見ても、まさか貨物にサンプル品が入っているとは気づけないんですね



その通り。申告外物品になってしまう恐れがあるのでアウトじゃ





これは、サンプル品の品名は書いてありますが、金額は0になっていますね。



税関に申告する際は、0円というのは認められないから、金額が必要じゃ
後で通関士や税関が困ってしまうから、最初から分かるように金額を記載しておくべきじゃの
まとめ



輸出者に、正確な書類を作成してもらうことが何より重要なんですね



うむ。
特に重要なのは、次の3点。
・すべての貨物をインボイスに記載すること
・無償であっても、価格を記載すること
・サンプルやおまけを追加する場合は、事前に輸入者へ連絡すること
輸入通関は、輸出者が作成した書類を基に行われる。つまり、輸出者の書類の正確さが、輸入者の通関のスムーズさを左右するのじゃ
今回のケースのように、無償サンプルやおまけであっても、通関上は正式な輸入貨物として扱われます。
インボイスに記載されていない貨物は申告外物品となり、価格が0円と記載されている場合も、修正を求められることがあります。
輸入通関をスムーズに進めるためには、輸出者としっかり連携し、正確なインボイスを作成してもらうことが大切です。
無償やおまけだからといって例外ではありませんので、すべての貨物について適切に申告できるよう気を付けましょう。
記事管理No.: 039-01-260315








