
貿易事務をしているウサギさんは、以前、通関業者がどんな人たちかについて、学びました。
(「通関業者ってどんな人?」参照。)
通関業者は、輸出入の申告を代行してくれる専門業者で、物流を支える大切な存在です。
今回は、その通関業者で活躍する“通関士”になるための“通関士試験”について紹介します。
ウサギさんそういえば博士、以前「通関士」という資格の話が出てきましたよね。
通関士さんになるには、どうしたらいいのですか?



通関士になるためには「通関士試験」という国家試験に合格する必要があるんじゃ。



国家試験なんですね!



うむ。通関士は貿易関係で唯一の国家資格じゃ。
通関士になるためには、通関士試験に合格し、通関業者に所属したうえで税関長の確認を受ける必要がある。
今回は、その通関士になるための第一歩、通関士試験について、わかりやすく説明していこうかの。


そもそも通関士とは?



通関士って、通関業者の中にいる人なんですよね?
具体的にはどんな仕事をしているんですか?



通関士の主な業務は、輸出入申告の内容のチェックじゃ。
通関業者が税関に申告する書類が、法律に沿って正しいかどうかを審査する役割を担っておるんじゃ。



なるほど。法律の内容を理解していないといけなそうですね。



そうじゃな。
例えば、
・貨物のHSコード(品目分類)は正しいか
・関税や消費税の計算は合っているか
・輸出入に許可や届出が必要な商品ではないか
・申告書類に不備や矛盾がないか
などを審査するんじゃ。
もし申告内容を間違えてしまうと、誤申告になってしまう可能性がある。場合によっては、関税の追徴課税が発生したり、貨物の輸入が差し止められたりすることもあるんじゃ。



そんな大変なことになるんですか!



だからこそ、通関士には正しい知識と、細かいところに気付けるきめ細かさが必要なんじゃ。
通関業務はチームで行われるが、その中で通関士は申告内容を最終的に審査し、責任を持つ重要な役割を担っているんじゃよ。
通関士の設置義務



通関業者の人たちはみんなプロですが、その中でも申告の最後の審査と責任が伴うのが通関士なんですね。



うむ。そして通関業者には、通関士を配置する義務が法律で定められているんじゃよ。
「通関業法」では、通関業者は営業所ごとに専任の通関士を置かなければならないと定められておる。



なるほど。つまり、通関業者には必ず通関士が必要なんですね。



輸出入申告は、関税や法律に関わるとても重要な手続きじゃ。
もし誤った申告が増えれば、税金の徴収や輸出入の管理に大きな影響が出てしまう。
通関士制度は、輸出入申告が法律に基づいて適正に行われるようにするために設けられているんじゃよ。
試験の概要について



通関士になるための試験って、どんな内容なんですか?



通関士試験は、財務省が実施する国家試験じゃ。
年に1回だけ行われる試験なんじゃよ。



年1回なんですね。



試験は通常、10月ごろに実施され、合格発表は11月から12月ごろに行われる。
そして意外かもしれんが、受験資格は特にないんじゃ。



えっ、誰でも受けられるんですか?



そうなんじゃ。
受験する人は
通関業者、フォワーダー、貿易会社
など、貿易や物流の仕事に関わる人たちが多いんじゃが、年齢や学齢に関係なく、誰でも受験できる国家資格なんじゃよ。



誰でも受けられるのは意外でした。
私も受けてみようかな…
試験科目と試験内容



通関士試験には、どんな科目があるのでしょうか?



主に以下の3つの科目で構成されているんじゃ。
①通関業法
→ 通関業者のルールや通関士の役割についての法律
例)通関業者の許可・義務、通関士の業務・設置義務など
②関税法等
→ 輸出入の手続きや税関の権限、関税率など、実務のルールを定めた法律
例)関税法、関税定率法、外為法、外国貿易法など
③通関実務
→ 実際の通関業務に関する問題。申告書記載要領などが出題される
例)申告書作成、関税計算、HSコード(品目分類)の決定、課税価格の決定など



各科目についてイメージを持つため、実際の出題例と合わせて、もう少し詳しく見ていこう。
①通関業法
通関業法は、通関業者が遵守すべき許可・義務や業務のルールを定めた法律です。
通関士の設置義務や、その業務内容・責任についても規定されています。
通関業を適正に行うための「業者側のルール」を学ぶ科目です。
出題例)


出典:税関「通関士試験 試験問題 通関業法」https://www.customs.go.jp/tsukanshi/59_shiken/20251005tukanshi01.pdf(最終閲覧日:2026年3月20日)



知らない言葉がたくさん…
名前だけでも難しそうです…。



初めは聞きなれない言葉も多くて、そのように感じてしまうかもしれんのう。じゃが、勉強を進めていくうちに分かるようになってくるから、大丈夫じゃ!
②関税法等
関税法等は、輸出入手続・関税率・税関の権限など、通関手続の基本となる法律を扱います。
関税法、関税定率法、外為法、外国貿易法など複数の法令が含まれます。
輸出入の流れを法的に理解するための「手続と制度のルール」の科目です。
出題例)


出典:税関「関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 (第6章に係る部分に限る。)」https://www.customs.go.jp/tsukanshi/59_shiken/20251005tukanshi02.pdf(最終閲覧日:2026年3月20日)



「関税法等」も選択する問題なんですね。



うむ。
「①通関業法」「②関税法等」は選択式か択一式じゃの。
「③通関実務」は申告書作成問題などで計算問題があるんじゃ。
現在の試験では、各科目ともマークシート方式じゃ。



「①通関業法」「②関税法等」は法律の暗記系なんでしょうか?



うむ。用語を理解し、正しい法律の知識を持っていることを問われるのが、「①通関業法」「②関税法等」じゃ。
「②関税法等」は「①通関業法」より法律の範囲が広くて、覚えることも多いのが特徴じゃ。
暗記が中心じゃが、なぜその法律になっているのか、背景も考えるとより理解が深まると思うぞ。
③通関実務
通関実務は、実際の通関手続に必要な計算・書類作成・品目分類などを扱う実務中心の科目です。
申告書作成、関税計算、HSコードの決定、課税価格の算定などが出題されます。
「実際に現場でどう処理するか」を身につける内容です。
出題例)












出典:税関「通関書類の作成要領その他通関手続の実務」https://www.customs.go.jp/tsukanshi/59_shiken/20251005tukanshi03.pdf(最終閲覧日:2026年3月20日)



なんだかさっきまでの出題と打って変わりましたね!?



うむ。「③通関実務」は、この申告書作成問題などのように、実務に直接かかわる問題が出題されるんじゃ。
この申告書問題では、INVOICEの品名からHSコード(品目分類)を判断し、実際の税額を計算する必要があるのう。



今までの科目も難しそうでしたが、この「通関実務」はそれよりもさらに難しそうです…



「③通関実務」は暗記だけではないからのう。試験時間も短いから、電卓を素早く叩いて計算しないと間に合わないという声もあるんじゃ。



計算苦手です…。電卓も自分に合ったものを使い慣れたほうが良さそうですね。



そうじゃな。電卓は13桁以上のものを選ぶといいぞ。
それ以下だと、小数点以下の処理で1円ずれたりして、不合格になってしまうこともあるんじゃ。
ちなみに、「③通関実務」は実務経験が5年以上あると1科目免除になるんじゃ。15年以上では2科目免除じゃ。



えっ!そうなんですか?
つまり、3科目全部を受けないといけない人もいれば、1科目だけ受ければ合格できる人もいるってこと?



うむ。
もし物流会社や通関業者に所属したりして、科目免除を受けられるなら、それを活用するのが良いぞ。
科目免除を受けようとする場合は、従業者登録などの証明が必要となるから、事前に税関の情報を確認することが必要じゃ。



私は科目免除の対象じゃないので、試験を受けるとしたら全科目勉強が必要そうです。



受験者の多くは、ウサギさんと同じように全科目受験者じゃ。
初学者は用語なども聞きなれなくてはじめは難しいと感じるじゃろうが、しっかり対策すれば独学でも受かっている人はいるから、挑戦してみる価値はあると思うぞ。
まとめ



ここではどんな問題が出るか一部を抜粋して紹介したが、税関のホームページに過去問がたくさん載っているから、それも見てイメージすると良いと思うぞ。
いきなり問題は解けないと思うから、まずは市販の本やテキストの説明を見ながら用語に慣れ、知識をインプットしていくのがおすすめじゃ。通信講座などもあるから、自分に合った方法を選んで勉強すると良いぞ。



難しそうですが、ちょっとずつ勉強してみようと思います!
今回の記事では、通関士試験とその内容について紹介しました。
・通関士は、輸出入申告の内容を確認する専門資格者
・通関業者には、通関士を配置する義務がある
・通関士になるには、国家試験「通関士試験」に合格する必要がある
・通関士試験は、年に1回実施。通関業法、関税法等、通関実務の3科目がある
今後の記事で、実際に受験した人たちは、どのように勉強し、どんな苦労をしたのか、体験談についても紹介予定です。お楽しみに!
記事管理No.: 041-01-260415








