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イラン情勢で物流はどう変わる?(前編)|航路停止で起きている“見えない混乱”

4月30日号【号外】遠い戦争が、日本の運賃を上げる?― イラン情勢で変わる海上輸送のリアルでは、現在のイラン情勢が海上物流に与える影響についてお伝えしました。

複数の船会社への取材を通じて見えてきたのは、寄港中止や航路変更、ブッキング制限など、輸送の前提条件に変化が生じているという実情です。

本記事ではさらに一歩踏み込み、実際に船会社を訪問し、対面インタビューを実施。現場でどのような判断が行われ、どのように輸送維持が図られているのか、具体的な対応を伺いました。2回にわたりお届けいたします。

ウサギさん

前回の記事で“影響が出ている”のは分かりましたけど、実際に出してしまった貨物はどうなったんですか?

フクロウ博士

そこが今回の話じゃ。現場では、想像以上に複雑な対応が行われておる。まずは何が起きたのかを整理してみよう。

目次

第1章:ホルムズ海峡の不安定化が物流に直撃

3月の紛争勃発後、中東向けサービスでは、本社が比較的早い段階で「Abandon(運送停止)」措置を決定し、対象航路のサービスを停止した。

もともとイラン向けについては、日本発の直行サービスは存在しておらず、中国起点でサービスが行われていた。しかし現在は、米国(US)の制裁強化により、そのサービス自体も停止しているという。

また、ホルムズ海峡を通過してUAEへ向かう貨物輸送についても大きな制限が発生。これにより、すでに手配済みだったブッキングのキャンセルや見直しが相次ぎ、輸送計画の前提が大きく崩れることとなった。

従来は当然のように使われていた航路が機能しなくなるという、直接的な影響が発生した。

影響は海上輸送だけではない。

日本国内のCY(コンテナヤード)に搬入済みだった輸出コンテナが出港できず、長期間滞留するケースが多発した。

特に影響が大きかったのが、中東向け中古車輸送である。

中東向けコンテナ貨物は中古車が圧倒的に多く、輸出が止まると、荷主(Shipper)側の日本国内保管ヤードがすぐに満杯となってしまう。そのため、荷主側からも「何とか出してほしい」という要望が非常に強かったという。

船会社側としても、単純に「止まったので待ってください」とするのではなく、「少しでも貨物を動かしたい」という思いで対応を続けていた。

実際、中古車だけでなく一般貨物についても、日本側CYへ搬入済みだったコンテナについては、現在も一部がCY内に残っているものの、海上輸送中だったコンテナと併せ、順次対応が進められている。

対応方法については、一律ではなく、顧客の意向を確認した上で個別に提案を行っているという。

具体的には、

  • 積戻し(特に特殊コンテナは日本へ戻すしかないケースもある)
  • 別国向けへの振替
  • 中継港での一時退避

などの措置が取られている。

また、この船社では、

  • 海南島
  • Nansha(南沙)

なども中継拠点として活用し、貨物を一時的に逃がしながら再ルーティングを行っていたという。

しかし、コンテナを一度引き取ろうにも、

  • トラック不足
  • 保管場所不足

といった問題もあり、簡単には動かせない状況が続いていた。

すでに輸送中だった貨物については、

  • Khor Fakkan(ホール・ファカン)/UAE
  • Fujairah(フジャイラ)/UAE
  • Sohar(ソハール)/Oman

といったホルムズ海峡外側の港へ振替が行われた。

ただし、当初中継拠点として利用されていたKhor Fakkan港は短期間でヤードが逼迫。その後はFujairahを中心とした運用へ切り替えられていったという。

ウサギさん

今回の話を聞いていると、最初の現場はかなり混乱していたんですね…。すでに出荷されていた貨物をどうするかで、みなさん必死に動いていたことがよく分かりました。

フクロウ博士

その通りじゃ。航路停止によって、すでに海上輸送中だった貨物や、日本のCYへ搬入済みだったコンテナが一気に行き場を失ってしまった。
現場では、その混乱を収束させるため、あらゆる手段を使いながら対応が続けられておったんじゃ。

ウサギさん

しかも、それをマニュアル通りではなく、その場その場で判断しながら対応していたんですよね。

フクロウ博士

うむ。まさに初期対応のフェーズじゃな。
そして次に課題となったのが、 「これから出荷する貨物を、どうやって中東へ届けるか」という問題じゃ。

次号予告

後編では、「その後、出荷を希望する貨物にどう対処したのか?」というポイントで、

・代替ルートを活用した航路維持の動き

・現場で行われている輸送確保の取り組み

・今後の見通し

について、さらに詳しく見ていきます。

次号でまたお会いしましょう。

記事管理No.: 038-01-260515

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