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香水の危険な香り キツネくん、恋と物流大成功への道

キツネくんはLA在住。日本に住む彼女に香水を送りたかったのですが、なにやら問題が?

フクロウ博士がやってきました。

キツネくん

チッ…参ったなぁ。日本にいる彼女に香水送りたかっただけなんだけどな〜。郵便局行ったら『香水は送れません』ってバッサリ断られちまって。

フクロウ博士

ほほう。それはいい経験をしたのぅ、キツネくん。香水は国際輸送では『危険物』扱いになることが多いのじゃ。

リスくん

えっ?香水が?こんなオシャレアイテムが危険物なのか?

キツネくん

実は笑いごとじゃないんじゃ。香水にはアルコールがたっぷり入っておる。特に引火点が60℃以下のものは『引火性液体』というカテゴリーで、国際ルール的には『危険物(Dangerous Goods)』として扱われるのじゃ(*1)。

キツネくん

マジか…。じゃあ何が危ないんだ?

フクロウ博士

飛行機や船の輸送中に温度が上がったり、衝撃があったりしたら…最悪、爆発や火災のリスクがあるんじゃ。

キツネくん

そういうことか〜。でもさ、個人で送る分くらいOKにしてくれても良くないか?

フクロウ博士

それが国際輸送の厳しさなんじゃ。特に個人輸送の場合は、郵便局や宅配業者が、危険物を取り扱うだけの体制がないから、基本的には断られる。

*1 正確な引火点はSDS (Safety Data Sheet 、安全データシートのこと。MSDS(Material Safety Data Sheet)とも) からの確認が必要。香水は一般的に高濃度でアルコールが使われ、引火点が低い(=低い温度で火が付く)危険物とされることが多い。

目次

ビジネス輸送の場合の壁

キツネくん

ふ〜ん…。でもオレ、将来的には自分のブランドの香水とか作って、バンバン世界に売りたいんだよな。そしたら、どうやって送るんだ?

フクロウ博士

それはまた別の話じゃ。ビジネスとして香水を輸送する場合は、もっと複雑になるぞ。

まず飛行機や船で香水を送るには、危険物として正式に申告しないといかん。危険物明細やSDS(*2)の提出が求められるし、梱包・ラベリング・緊急時対応なども厳密に管理される。

キツネくん

へぇ〜。でも業者に頼めばやってくれるんだろ?

キツネくん

そこがポイントじゃ。扱える業者と扱えない業者がある。これにはいくつか理由があるんじゃ。

*2 基本的に英語が多いが、日本の通関では日本語訳を求められることもある。

扱える業者・扱えない業者の違い

フクロウ博士

例えば航空会社や船会社の場合、国際規則(IATA DGR (*3)やIMDGコード(*4))に沿って危険物輸送はルール化されておる。だから基本的には取り扱い可能じゃが、その会社の安全基準やビジネス方針によって、引き受けない場合も多い。

キツネくん

どういうことだ?

フクロウ博士

簡単に言えば『危険をどこまで許容するか』じゃな。取り扱いが複雑だったり、他の貨物へのリスクがあると判断されれば断られることも多い。

*3 IATA DGR= 国際航空運送協会(IATA: International Air Transport Association)が定めた危険物規則書(Dangerous Goods Regulation)。

*4 IMDGコード=国際海事機関(IMO)が定めた国際海上危険物規程(International Maritime Dangerous Goods Code)。

倉庫・混載の制約

フクロウ博士

さらに倉庫側にも制約がある。日本国内だと消防法や各自治体の条例によって、危険物を保管できるかどうか決まっておる。危険物専用倉庫じゃないと扱えない場合が多いし、一般倉庫でも『一定数量以下ならOK』という制約がある。

キツネくん

つまり香水をたくさん送るなら、専用倉庫探さないとダメってことか。

フクロウ博士

その通りじゃ。あと、航空便や船便の場合、『混載(他の荷物と一緒に送ること)』ができないケースもある。例えば引火性液体と可燃性液体は一緒に積んではいかんというルールがある。そうなると、コンテナ貸し切り(FCL)で単独輸送せざるを得ないこともあるんじゃ。

キツネくん

へぇ〜…ただダメっていうんじゃなくて、理由があるのか。

フクロウ博士

その通り。さらに通関手続きでは、危険物であることを申告しなければいけない。SDSを提出したり、貨物明細にUN番号(*5)を記載したりと、細かい対応が求められる。対応できる業者に相談するのが鉄則じゃな。

キツネくん

なるほどな…。オレもそのうち、ちゃんとした物流パートナー探さないとだな。

フクロウ博士

そう。そして、そもそも、自社できちんと対応する体制が肝心じゃ。緊急時対応は荷主側で出来なくてはならないし、SDSは香水メーカー名義のものが必要になる。丸投げは厳禁じゃ。

*5  国際連合(UN)が定めた番号で、安全に化学品を運ぶために危険物を分類したもその番号ごとに正しい容器や梱包方法が示されている。

正しい知識を武器に

フクロウ博士

そうじゃな。香水一つとっても、国際輸送の世界はルールと規制の塊じゃ。知らずに突っ込むと痛い目を見る。日本に輸入して流通させるなら、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)という別のルールも関わってくるから要注意じゃ。
こうした規制やルールは、ややこしくて面倒に思えるかもしれんが、逆に言えば知識を味方につければ、勝つこともできる。夢を実現する武器になるんじゃ。

キツネくん

なるほどな…。知らなかったらアウトだけど、知っていればちゃんと戦えるってワケか。

フクロウ博士

その通り。ちなみに香水だけじゃないぞ。アルコール消毒液や、アルコール度数が高いお酒なんかも『引火性液体』として危険物扱いになることがあるから、気を付けるんじゃ。

キツネくん

オシャレと酒と物流は、意外と奥が深いんだな。よし、勉強して、彼女にいいとこ見せてやるよ!

まとめ
  • 香水は「危険物」(アルコール含有)として国際輸送に規制あり
  • 個人で送るのは難易度高め。特に郵便・宅配便は不可が多い
  • ビジネスで送るなら「危険物取扱い可」の業者を選ぶこと
  • 輸送方法(飛行機・船)や数量によって条件が変わる
  • 保管や輸送は「混載制限」や「倉庫の規制」に注意
  • 日本で流通させるなら「薬機法(医薬品医療機器等法)」の確認も必要
  • アルコール系は香水以外にも注意(消毒液・高アルコール酒など)

国際輸送には、たくさんのルールや規制がありますが、正しい知識を持ち、信頼できるパートナーと一緒に進めば、きちんと届けることができます。

知らないと困ることも多いですが、知っていれば怖くありません。大切な想いを安全に届けるために、ルールを味方につけて、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

記事管理No.: 017-01-250415

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