
キツネくんはLA在住。ネットショップ展開で一旗揚げようと虎視眈々と狙っています。
久々の来日も、ビジネスチャンスを見つけようと余念がありません。
おやおや、今日は東京の大手ディスカウント・バラエティショップにいるようです。
日本旅行で見つけたビジネスチャンス!?


すごい…。どこの売り場も外国人だらけじゃん。
(美顔ローラーコーナーで、インバウンド観光客がごっそりカゴに入れている)



みんなすごい買っていくんだなぁ。これ、アメリカで売れたらバカ売れするんじゃないか?「日本で大人気!」って言って。





…ん?MADE IN CHINA!?なるほど!だったら、中国から直接アメリカに送ればいいんだな。俺、天才じゃないか!?
フクロウ博士、登場!トランプ大統領と「関税」



おやおや、キツネくん。また何か企んでいるな?



博士、いいところに! 実はさ…
日本で人気の美容機器をアメリカで売ったらどうかな?って。しかもさ、中国から直接買って、アメリカに送るんだ。



なるほどなぁ。インバウンド旅行者の急増で、お土産で人気のグッズが海外で売れるケースは増えているのぉ。
だが、中国とアメリカの関税は、なかなか難しい局面にある。いわゆる、「トランプ関税」問題じゃ。
トランプ氏再選により、相互関税が課され、中国から米国への輸入には145%、日本からの輸入には35%など多くの国に関税がかけられました。逆に中国は、対抗関税として125%をかけるなど関税合戦に発展。しかし、5月の米中合意でお互いに大幅に譲歩。また、日本も米国との交渉を継続していますが、今後の交渉次第で再拡大の可能性も。この先行き不透明な米中関税動向に世界中が注目しています。



なるほどー。アメリカと中国はバチバチだもんな。
待てよ、てことは、日本経由で送れば、トランプ関税を避けられるんじゃないか?



ちょっと待った!安易な迂回輸送には、大きな落とし穴があるんじゃ。
実はキツネくんだけじゃない…業界でよくある「日本経由ビジネス」



実はな、キツネくん。君みたいに「日本を経由すれば安くなるかも」と考えるのは、
個人だけじゃなくて、企業でもよくある話なんじゃ。



え、そうなの?



そうじゃ。そもそも、中国・アメリカは巨大経済圏で、ライバルでもありながら、実際の貿易は相互に多い。両国間の貿易にかかわる企業は、押並べて「トランプ関税」「相互関税合戦」税金負担に頭を抱えている。
そういった企業の中には、『日本を経由させれば、メリットが出るんじゃないか』と考えるケースもあるのじゃ。



へえ…みんな同じようなこと考えてるんだな。天才は俺だけかと思った。



じゃが、その「日本経由すれば解決」という発想が、実は大きな落とし穴なのじゃ。
フクロウ博士の物流講座 「こうやったら関税回避できる?」
① ただ日本で積み替えるだけ





じゃあ、中国から日本に送って積み替えてアメリカへ。これは「日本産」って言えないのか?



それはNG。積み替えだけじゃ原産国は中国のままじゃ。
実質的な製品が変わっていないので、HSコードも変わらないし、関税はそのまま。
むしろ日本経由の輸送コストだけ増えるだけであろうな。
②日本で“ちょっとだけ加工・包装”





じゃあ、箱を変えるとか、日本語の説明書を入れるとか、
そういうちょっとした作業を日本でやれば…?



残念じゃが、「見た目だけ日本っぽくする」のは意味がない。アメリカの税関は“実質的な加工”として認めないんじゃ。
③ 日本で“組み立てるだけ・混ぜるだけ”





じゃあ、部品だけ中国から持ってきて、日本で組み立てるとかは?



それも要注意。ほとんどのケースにおいて、単なる組み立てや混ぜるだけでは、アメリカの税関は「日本産」とは認めない。日本で作業する「必然性」が認められなくてはならないのじゃ。
これら3つの方法では、HSコードや原産国は変わらないことがほとんどで、すると関税も変わらない。
むしろ、コストだけがアップし、「税金逃れ」と疑われて、追徴課税や罰金を受けるリスクもある。
- 必然性がない日本経由輸送・単純作業をしても、「日本産」にはならないことのがほとんど
- HSコードが変わらなければ、関税も変わらない
- 積み替え・ラベル貼り・詰め替え・組み立てだけではリスク大
- コスト増や、最悪、追徴課税・罰金・信用失墜の可能性も
それでも日本経由にメリットはある?



…やっぱり、日本経由は意味ないのか…。



そうじゃなぁ、正しい使い方ならメリットもあるぞ。
人件費と同じく、税金も考え、どこでどう良い製造するかは企業努力でもある。例えば、
- 日本でしっかり加工・生産して、正しい「日本産」として輸出
- ラベル変更・検品・法令対応を日本で実施し、品質リスクを減らす
- など、日本で生産する合理的メリットを判断して、生産拠点を動かすことは問題にはならない。



なるほど。そこまで考えて動かないと、大きなリスクになるわけか。



その通り。「正しい物流設計」が必要じゃ。
まとめ|税関も注意喚起!トランプ関税に振り回されず、正しい選択を



甘い話にはリスクがつきもの。
「日本経由=関税カット」は、落とし穴だったろう?



うん…。危うく、ムダなコストとリスクを背負うところだったよ。
一筋縄ではいかないなぁ。



実は、税関も問題視し、こんな通知を出しておる




出典:https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/06_yutori/yutori.html



こりゃ大変だ。こんなことになったら、損するどころの騒ぎじゃないな。



その通り。
安心な物流計画のためには、物流会社や通関業者に相談してみるのが良い。信頼できる物流パートナーは、ビジネス成功のカギじゃ。
良い結果を期待しておるぞ!
記事管理No.: 017-01-250615