
「中古プレジャーボートを輸出したいんです。」
とある通関業者に、そんな相談が舞い込みました。
依頼主は、中古車パーツや中古品を輸出している会社。
対応するのは、コクブモ初登場の通関士ビーバーくん。
プレジャーボートを輸出する機会は少なくても、「誰に聞けばいいの?」と困った経験がある方は多いのではないでしょうか。
今回は通関士ビーバーくんが実際に遭遇したプレジャーボート輸出案件を通して、税関や水産庁など、それぞれの役割と輸出実務の裏側をのぞいてみましょう。
プレジャーボートなのに、なぜか漁船の話になる?

ビーバーくんフクロウ博士、聞いてくださいよ。先日、プレジャーボートの輸出案件があったんです。
船の輸出は初めてだったので、税関に相談したところ、「漁船ではないことを確認してください」と言われたんです。



ほぉ、その問題か。



え?それだけでわかるんですか!?
クルージングや釣りに使うレジャー用の船ですよ?なぜ漁船の確認が必要なんでしょうか。



プレジャーボートと呼ばれる船でも、輸出実務では設備や用途が確認されることがあるんじゃ。
例えば、
レジャー用の船なのか
魚を獲るための設備を備えているのか
といった点じゃな。



魚を捕る船は輸出できないのですか?



そうではない。漁船は漁業に関わる船であるため、水産資源の管理などの観点から確認が必要になる場合がある。別の審査が必要となるんじゃ。
まずは、税関に確認してみた



制度を調べていく中で、まず税関へ確認してみました。
すると、一般的な制度の説明はしてくれたのですが、この船が漁船に当たるかどうかは判断できない、ということだったんです。



税関には税関の役割があるからのう。



そうなんです。税関は、他の省庁の判断を受けて、輸出OKか否か、何の名目で輸出するかを決めるという役割なんですね。



うむ。その名目を決める、という意味で「漁船かどうか」の確認になったんじゃな。



さすが、フクロウ博士。何でもお見通しですね。そこで出てきたのが水産庁でした。
問題は船体ではなく、中身だった



税関への確認を経て、水産庁へ確認するための資料を整理することになりました。



そうじゃろう。こうした場合は、
・船体全体の写真
・船内設備の写真
・船舶関係の書類
などを確認することが多いのう。





そうなんです!まさにそうした資料を荷主から取り寄せることになりました。
普段の輸出案件では、
・インボイス
・パッキングリスト
・原産地証明書
などが中心です。
ところが今回は、船そのものがどのような設備を備えているのかを整理する必要がありました。



船の場合は、設備や構造そのものが確認事項になることもあるからのう。



はい。荷主から送っていただいた写真を見ながら、
「この設備は何に使うものですか?」
「現在も使用できる状態ですか?」
と一つずつ確認していきました。
船体だけでなく、船内の設備も含めて整理していくと、生け簀をはじめ、さまざまな設備が見えてきました。





よく粘ったのう。設備の状況を確認することで、その船がどのような用途で使われるものなのかを整理して説明する必要がある。



そうなんです。最初は船の輸出手続きの話だと思っていたのですが、気づけば船内設備の写真を何枚も見ながら資料を整理していました。本当に大変でした。



輸出実務では、モノの名前だけでなく、その実態を確認することが求められるからのぉ。



今回の案件で、それを改めて実感しました。
水産庁へ確認



すると、次は水産庁の判断じゃな。



はい、現在は回答待ちです。



気がかりじゃのう。
水産庁から「漁船ではない」と判断されれば、その結果をもとにプレジャーボートとして輸出手続きを進めることができる。
漁船と判断された場合は、経産省への経済産業省への確認や、別の手続きが必要になる可能性があるからのぉ。



そうなんです。漁船と判断された場合は、経産省に対し
・船舶の情報
・輸出先
・売買契約の内容
・水産庁の確認結果
などを提出し、漁船としての輸出手続きをしなくてはならないとわかりました。



よく調べたのう。
・税関は輸出手続きを確認する。
・水産庁は漁船かどうかの判断基準を持っている。
・経済産業省は、経済活動をする漁船として管理をする。
という関係性がある。それぞれの役割がつながっておるわけじゃな。



今回の案件を通して、「情報を整理し、適切な手続きにつなげること」が通関士の重要な仕事なのだと実感しました。
通関士の仕事は申告だけじゃない



通関士というと、「申告書を作る人」というイメージを持たれることがあります。でも実際には、
法令を調べる
関係機関へ確認する
必要な資料を集める
荷主と調整する
そんな仕事もたくさんあります。



そうじゃな。通るも通らないも、通関士の腕次第、ということもある。



そうですね!そういう、頼られる通関士になりたいです!
- プレジャーボートでも、設備や用途の確認が必要になることがある
- 船体だけでなく、船内設備や船舶関係書類も重要な資料になる
- 確認結果によって、その後の手続きが変わる場合がある
- 通関士の仕事は、貨物の情報を整理し、適切な申請につなげること
輸出入では、貨物そのものだけでなく、その背景にある制度や手続きの理解も欠かせません。だからこそ、困ったときに相談できる通関業者の存在が大切なのですね。
記事管理No.: 039-01-260815





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