
商社で貿易事務として働くウサギさん。少しずつ仕事にも慣れてきました。
台風シーズンのある日、ふと気になったのが「輸送中の貨物に、もしものことがあったら?」ということ。
海上保険に入っていれば安心? 航空貨物の場合は? 港や倉庫に置いてある間はどうなるの?
知っているようで意外と知らない、国際物流の「貨物保険」。 今回はフクロウ博士と一緒に、基本から学んでみましょう!
海上保険なのに、航空貨物も対象?
ウサギさん博士、台風のニュースを見ると、輸送中の荷物がちょっと心配になりますね。でも海上保険に入っていれば、船で運んでいる間は安心ですよね?



そうじゃな。ただ、「海上保険」という名前から、船で運んでいる間だけの保険だと思っていないかの?



えっ、違うんですか?



実は、一般に「海上保険」と呼ばれている貨物保険は、船だけとは限らないんじゃ。国際輸送される貨物なら、航空輸送や、それに伴うトラック輸送なども対象になることがあるんじゃよ。



飛行機なのに「海上保険」!?



ちょっと不思議じゃろう。
海外へ荷物を送るときは、倉庫からトラックで港や空港へ運び、船や飛行機に載せ、到着後はまたトラックで目的地へ……と、いろいろな場所を通っていく。
その途中には、台風や高波などの自然災害、コンテナへの浸水、荷役中の落下・破損、輸送中の事故や盗難など、さまざまなリスクがあるんじゃ。





海の上だけ気を付ければいいわけじゃないんですね。



そのとおり。倉庫を出てから目的地に着くまで、貨物の「旅」にはいろいろなリスクがある。だからこそ貨物保険があるんじゃな。
「保険に入っている」だけでは分からない?



じゃあ、貨物保険に入っていれば、倉庫を出てから目的地に着くまで、ずっと安心ですね!



そこが要注意じゃ。
大事なのは「保険に入っているか」だけではなく、誰が保険をかけていて、どこからどこまで、何を補償しているのかなんじゃ。



途中で保険が効かない場所があることも?



契約内容によっては、補償の「空白」が生じる可能性もあるんじゃよ。
例えば国内をトラックで運んでいる間は、運送会社が「運送賠償責任保険(通称:運賠)」に加入しているケースが多い。
ただし、これは貨物そのものにかける保険ではなく、運送会社が負う賠償責任を補償するものじゃ。
そして貨物が運送会社の手を離れたあと、次の保険の補償が始まるまでの間はどうなっているのか。
ここまで確認しておくことが大切なんじゃ。
台風で見えてくる「保険の空白」



「保険の空白」って、実際に問題になることがあるんですか?



もちろんじゃ。台風のような大きな自然災害が起きると、普段は見えにくいリスクが一気に表面化することがある。
例えば、2018年9月に関西地方を襲った台風21号じゃ。
大阪港や神戸港などでは高潮による浸水が発生し、コンテナの倒壊や流出、港湾設備の損傷など、大きな被害が出たんじゃ。





港に置いてあるコンテナも、そんな被害に遭うんですね……。



そうなんじゃ。
例えばFOBという貿易条件では、基本的に貨物が船に積み込まれるまでのリスクは輸出者側にある。
ところが、トラックでヤードへの搬入はすでに終わっている。一方で、買主側が手配した海上保険も、契約によってはまだ補償が始まっていない場合がある。



そのタイミングで台風が来たら……。



契約内容によっては、運送会社の保険と買主側の貨物保険の間に、補償の「空白」が生じる可能性があるということじゃ。
だから、「海上保険に入っています」で安心するのではなく、いつから、どこまで保険が効いているのかを確認することが大切なんじゃよ。
FOB、FCA、CIFなどの貿易条件によってもリスクを負う範囲は変わる。Invoiceに書いてある条件も、一度確認してみるとよいぞ。
じゃあ、倉庫に置いてある商品は?



ちょっと待ってください。
港に置いてある貨物でもそうなら、そもそも倉庫に保管している商品はどうなるんですか?
例えば地震で倉庫が被害を受けたら、建物の保険で中の商品も補償されるんでしょうか?



いいところに気がついたのう。
実は、建物の補償と、中に保管されている商品・在庫の補償は、分けて考える必要があるんじゃ。
さらに、自社の倉庫に置いているのか、倉庫会社に預けているのかによっても事情は変わる。



倉庫会社が保険に入っていれば大丈夫、というわけでもない?



そうとは限らんのじゃ。
どんな商品が、どんな事故や災害に対して、どこまで補償されているのか。特に地震などの自然災害については、契約内容をきちんと確認しておくことが大切じゃ。


「保険に入っています」で終わらせない!



貨物保険って、「入っている・入っていない」だけの話だと思っていました。



国際物流では貨物が、倉庫、トラック、港や空港、船や飛行機……と、いろいろな場所を移動するからのう。
だから保険について確認するときは、この3つを覚えておくとよいぞ。
① 誰が保険をかけている?
② どこからどこまで補償される?
③ 何が起きたときに補償される?



なるほど!「保険に入っているから大丈夫」ではなくて、自分たちの荷物が、いつ、どんなリスクから守られているのかまで知っておくことが大切なんですね。



そのとおり。
台風や地震はいつ起こるか分からん。何も起きていないときこそ、一度自社の貨物や在庫の保険について確認しておくと安心じゃな。
※本記事は貨物保険等に関する一般的な情報提供を目的としています。実際の補償範囲・適用可否は、保険契約の内容や事故の状況等によって異なります。具体的な補償内容については、保険会社・保険代理店等にご確認ください。
記事管理No.: 038-01-260915







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