
商社で貿易事務をしているウサギさん。
今回は、「危険品」について知るシリーズ第3回目です。
ここでは、危険品で必要な書類について学びます。

危険品ではどんな書類が必要?
ウサギさん博士、前回でUN番号・CLASS・PGの3セットが危険品業務の基本だと分かりました。でも実際に書類を準備しようとすると、SDSとか赤紙とか、いろんな名前が出てきて混乱してしまって……。
危険品の案件で必要な書類って、全部でどれくらいあるんですか?



海上輸送の場合、特に押さえておくべき書類は大きく3種類じゃ。
1つ目がSDS(安全データシート)、2つ目が危険物・有害物事前連絡表(事前連絡表)、そして3つ目が危険物明細書(赤紙)じゃ。



3種類ですか。それぞれ何のための書類なんですか?



簡単に言うと、SDSはメーカーが作る物質の「説明書」、事前連絡表は港で安全に荷物を取り扱ってもらうために提出する書類、赤紙は船社に対して「これは危険品です」と申告するための書類じゃ。それぞれ提出先も目的も違う。



同じ「危険品の書類」でも、用途と提出先が全然違うんですね。
押さえておきたいポイント
3つの書類の役割をまとめると、次のようになります。
| 書類 | 目的など | 主な提出先 |
|---|---|---|
| SDS(安全データシート) | 化学物質の危険性、有害性、取扱方法、応急措置などを示す説明書。 主にメーカーが作成。 | 社内確認、危険物申告書類作成の根拠資料 |
| 危険物・有害物事前連絡表 | 港で危険物や有害物を安全に取り扱うための事前通知。 荷主、通関業者、フォワーダー、港湾代理店などが作成。 | 港湾管理者、港湾運送事業者、関係機関 |
| 危険物明細書(赤紙) | 危険品の品名、UN番号、クラス、容器等級、隔離区分などを申告する書類。 荷主、通関業者、フォワーダー、港湾代理店などが作成。 | 船社(運送人) |
SDSとは?危険品業務で特に見るべきポイント



まずSDSから教えてください。SDSって、メーカーが作る書類なんですよね?



そうじゃ。SDS(Safety Data Sheet/安全データシート)は、化学物質や製品の製造者・販売者が作成する書類で、その物質の危険性・有害性、取扱方法、緊急時の対応などが記載されておる。危険品輸送においては、SDSを元に後の書類を作成することになるため、出発点とも言える存在じゃ。



SDSには何が書いてあるんですか?結構ボリュームがある書類ですよね。



SDSは国際的なルールで16のセクションに分かれておる。じゃが危険品輸送の実務で特に確認すべきポイントに絞って話そうかの。まず確認したいのは、UN番号とCLASS、PGじゃ。前回説明した3つのセットが、SDSのセクション14「輸送上の注意」に記載されておることが多い。



セクション14を見ればいいんですね。他にはどこを見ますか?



引火点(Flash Point、FPとも呼ばれる)も重要じゃ。
特にClass 3の引火性液体は、引火点の数値によってPGが変わることがあるから、SDSで必ず確認する必要がある。
また、海洋汚染物質(Marine Pollutant)に該当するかどうかも確認が必要じゃ。
海洋汚染物質は危険品クラスとは別軸の規制で、海上輸送では特別なマークの表示が求められる。これについては別の回で詳しく取り上げるが、SDSのセクション14に「Marine Pollutant: Yes/No」という記載があるから、必ず確認する習慣をつけておくとよい。



UN番号・CLASS・PG、引火点、そして海洋汚染物質への該当有無……。セクション14を中心に見ればいいということですね。



SDSは数十ページに及ぶこともあるが、危険品輸送の観点ではまずセクション14を確認すること、と覚えておけば十分じゃ。
危険品の輸送では、UN番号や危険物クラスに加え、引火点(Flash Point)やMarine Pollutant(海洋汚染物質)該当有無の確認も重要です。
これらの情報は、SDSのセクション14(輸送に関する情報)に記載されていることが多いため、確認する習慣をつけておきましょう。
事前連絡表と危険物明細書(赤紙)



SDSで必要な情報が確認できたら、次は何をするんですか?



SDSから情報を拾って、2つの書類を作成することになる。1つが港湾向けの「事前連絡表」、もう1つが船社向けの「危険物明細書(通称:赤紙)」じゃ。



この2つは、どう違うんですか?



まず事前連絡表を見てみよう。





これが事前連絡表なんですね



この事前連絡表じゃが、これは港で危険品を安全に取り扱ってもらうために、港湾管理者や港湾運送事業者などの関係機関へ事前に通知するための書類じゃ。
「どんな危険品をいつ、どこに搬入するか」という情報を港湾側に伝えることで、受け入れ体制を整えてもらう目的がある。



なるほど、港湾側への「お知らせ」の書類なんですね。



次に、赤紙(危険物明細書)じゃ





赤紙(危険物明細書)は、船社(運送人)に対して「この荷物は危険品です」と正式に申告するための書類じゃ。
UN番号・CLASS・PG・荷姿・数量・隔離区分など、危険品として輸送するために必要な情報を記載するんじゃ。



この書類は英語での表記なんですね。
これは荷主が作成するんですか?



基本的には荷主(シッパー)が作成・署名する書類じゃが、実務ではフォワーダーなどがSDSの情報を元に代わりに作成することも多い。いずれにせよ、記載内容の正確さについては荷主が責任を負うんじゃ。



SDSで情報を確認して、そこから事前連絡表と赤紙を作るという流れなんですね。



まさにその通りじゃ。流れで整理すると「SDSで必要情報を確認する→事前連絡表と赤紙を作成する」ということになる。
危険品書類の作成フローを整理すると、次のようになります。
1. SDS(主にメーカーが作成)
↓ セクション14を中心に、UN番号・CLASS・PG・引火点・海洋汚染物質の該当有無を確認
2. SDSから情報を拾う
↓
3. 2種類の書類を作成・提出する
事前連絡表(港湾管理者・港湾運送事業者などへ)
危険物明細書・赤紙(船社へ)
*ここでは海上輸送で必要な書類について説明しています。航空輸送の場合は、DGD(Dangerous Goods Declaration/危険品申告書)など、海上とは異なる書類が必要になることがあります。
まとめ



危険品で必要な書類について、それぞれの役割がイメージできました!



うむ。危険品の書類では、この「SDS」「事前連絡表」「危険物明細書(赤紙)」の3つを押さえておけば基本はバッチリじゃ。



もし事前連絡表などを自分で作成しない場合でも、どのような情報が必要になるのかを理解しておけば、作成依頼もスムーズに進められますね。



そうじゃの。危険品書類には、港湾作業中や輸送中の事故を防ぐため、正確な情報を記載することが重要じゃ。もし危険品書類の作成を他社へ依頼する場合も、最新版のSDSや緊急連絡先など、必要な情報を正確かつ速やかに準備できるよう、関係者同士でしっかり連携することが大切じゃの。



正確な情報を共有できるように、しっかり準備しようと思いますす!
海上輸送における危険品書類は、大きく3種類あります。SDSはメーカーが作成する物質の説明書で、危険品業務の出発点となります。SDSのセクション14を確認し、UN番号・CLASS・PG・引火点・海洋汚染物質への該当有無を把握することが、書類作成の第一歩です。その情報をもとに、港湾向けの事前連絡表と船社向けの赤紙(危険物明細書)を作成します。この3つの書類がそれぞれ異なる提出先・目的を持つことを理解した上で、抜け漏れなく準備することが重要です。
記事管理No.: 052-01-260930








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